バショウカジキとヒシコバン観察のススメ
━━2020年以降、毎年秋になるとバショウカジキの飼育展示があり、私も含め一部の水族館ファンの間では「秋の風物詩」という感じにもなっています。今後もアクアマリンふくしまでのバショウカジキ展示への挑戦は続いていく、と思っていいのでしょうか。
そうですね。相手が生きものなので断言はできませんが、おそらくそうだと思います。
━━今後、水槽内でのバショウカジキを見る際に、観察のコツや見るべき行動などオススメのポイントはありますでしょうか。特に「ヒシコバンが出てくる前兆の行動」などがあればぜひお聞きしたいです。
バショウカジキのクリーニング要求行動としては、まず「泳ぐ速度を落とす」。そして、そのために「尾びれを振るのを止める」「ブレーキングのために背びれを開く」。
また、「エラを大きく開いてヒシコバンが出てくるのを促すような行動」をとります。
開いたエラ蓋からヒシコバンの尾が覗いている 2020年11月(撮影:アル)━━なるほど! バショウカジキのそういった行動が観察されたら、ヒシコバンが出てくるサインということでしょうか?
ただ、バショウカジキがクリーニング要求行動をして、ヒシコバンが出てくる確率というのは、当館の観察結果ではおおよそ60%くらいなんです。バショウカジキのクリーニング要求行動なしに、ヒシコバンが勝手に出てくることもありません。
バショウカジキが「掃除してくれよ」という感じで要求行動をとる、それに対して実際に出てくるor来ないはヒシコバン側のいわば気分次第。その確率がおよそ60%、そんな感じですね。
━━とても勉強になりました。今年もまたバショウカジキが搬入・展示されましたら、こういった行動についてもぜひしっかり注目してみたいと思います! きっとこの秋もバショウカジキを見に来るだろう水族館ファンの方々へ、なにかお伝えしたいメッセージがあればぜひお願いします。
そうだなあ……。水族館好きな方って、けっこう館内を2周、3周したりするんだと思うんですが。実は私もそんな感じで、朝出勤したら、自分の担当以外の水槽もひと通り見て回っているんです。魚たちの行動を見ているのが好きなんですよ。
なにか見慣れない行動を見つけたら撮影や録画をして、「この行動って何なのだろう」って想像したり考えたりするのが楽しいんです。本当は今回のインタビューみたいに、魚たちに直接聞ければいいんですけどね(笑)
なので、そういう観察や発見の成果が少しでも皆さんにお伝えできれば嬉しいですし、来館された方々も同じように水槽を眺めてそういったことを想像したり考えたりする──特に子どもたちの自由な発想を育むことができる、水族館がそんな場であればいいなと思っています。
━━これからもそういった視点で、アクアマリンふくしまに通わせていただきます! 貴重なお話、本当にありがとうございました!
アクアマリンふくしま本館(提供:アル)本館の外壁に掲示されている「Inspiring Aquarium」の文字。まさしくその通りだなと思った、今回の取材でした!