水産庁が発表する「水産白書」によると、食用魚介類の1人1年当たりの消費量は2023年度で21.4kgと、ピークを迎えた2001年度(40.2kg)の約半分にまで減少。家庭で魚料理が登場する機会も減っています。
一方、子どもに魚を食べさせたいと用意しても、「お魚はちょっとイヤ……」と言われてしまうこともあるようです。
魚には成長期に必要な栄養素がたくさん詰まっています。「なんとか食べてもらいたい!」と思うのが親心──けれど、嫌がる気持ちを押さえつけても、逆効果になることもあります。
そこで、子どもが魚を嫌う理由と家庭でできる工夫について考えてみました。
子どもが魚を嫌う理由とは?
子どもが魚を嫌がる理由のひとつに「におい」があります。
焼き魚や煮魚から立ち上る独特の香りは、魚好きにとっては食欲をそそるものですが、魚嫌いには「くさい」と感じる匂いになるそうです。
さらに、「骨が多くて食べにくい」ことも、子どもが魚を避ける理由のひとつ。食べている最中に魚の骨を出すのが難しかったり、魚の骨を飲みこんで喉にひっかかってしまったりすることもあります。
こうした経験が、子どもにとって苦い思い出になりやすく、魚を食べるのが億劫に感じることも魚嫌いの要因になります。
また、魚の見た目そのものを怖がる子もいます。頭付きの焼き魚や皮がついたままのお刺身は、目がこちらを見ているように感じられて苦手という理由もあるようです。
魚嫌い克服のための工夫とレシピ
魚のにおいや骨が原因で食べられないのであれば、調理法で工夫するのが効果的です。
例えば、骨の心配が少ない切り身やすり身を使えば「食べにくい」という不安を取り除くことができます。すり身団子の味噌汁やいわしハンバーグ、さつま揚げなどの料理は、特に子どもでも受け入れやすいレシピでしょう。

また、味付けを変えるだけでも、印象はぐっと違ってきます。
甘辛く食べやすい照り焼きにしたり、味が濃く子どもにも受け入れやすいチーズやマヨネーズを使った洋風アレンジにしたりすると、魚の風味や生臭さが和らぎ「これなら食べられる」と感じる子が増えます。甘いタレに浸けた南蛮漬けもおすすめです。
缶詰やフレークなども活用してみましょう。
油により魚特有の風味が和らいでいるツナ缶を混ぜたおにぎりやサケの旨みがふわっと広がる鮭フレークご飯は、手軽に栄養をとれる一皿になるのでおすすめです。
家庭でできる「魚好き」育成法
魚を好きになるには、食べるだけでなく「魚に触れる機会」を増やすことも大切です。
スーパーの鮮魚コーナーで一緒に魚を選んでみたり、料理の下準備を一緒にしたりすることで「自分で関わったものは食べてみよう」という気持ちが生まれます。

また、休日に水族館へ出かけたり、釣り体験を取り入れたりするのも良い方法です。
魚が生きている姿や泳ぐ様子を知ると、ただの「苦手な食べ物」から「面白い生き物」へと意識が変わり、食卓での印象にも変化が表れることがあります。
魚を食べる経験を増やすこと
魚嫌いを完全になくすのは簡単ではありませんが、「少しなら食べてみようかな」と思える経験を積み重ねることが大切です。
工夫をしながら魚との距離を縮めていけば、苦手意識が和らぎ、やがては「好き」につながっていくかもしれません。
親子で楽しみながら、無理のないペースで魚との付き合い方を見つけていきましょう。
(サカナトライター:せんば千波)