空気がなくなる タンク圧はわずか約40気圧
私は、背負っている空気タンク内の空気をほとんど使い切ってしまっていたのです。ここに来るまでの過程や水温低下、激流などで思いのほかタンクの空気を使ってしまったようです。
ダイビング開始時のタンク圧は約200気圧ありました。これは、空気がたっぷり入っているほぼ満タンの数値です。
しかし、このときのタンク圧はわずか約40気圧まで減っていました。あのタカベの群れを見たポイントもまだまだ先。これでは陸にたどり着くまでにタンク内の空気を使い切ってしまいます。
友人の空気を分けてもらう
そこで私は、共に潜っていた友人の空気を分けてもらうことになりました。
タンク内の圧縮された空気を吸うためには減圧する必要があります。それを人間が吸うレベルまでに減圧し、呼吸を可能にするための道具がこの「レギュレーター」です。
レギュレーター。黄色の部分が「オクトパス」(撮影:みのり)万が一、このレギュレーターが破損してしまった場合に使うのが、予備の「オクトパス」。また自身のレギュレーターの破損に限らず、仲間のダイバーのタンクやレギュレーターに異常が生じた場合にも使用することができます。
私は友人からオクトパスを通じて、友人のタンクの空気を分けてもらいました。オクトパス自体は友人のタンクに接続されているため、私は友人の傍にピッタリとくっついて泳ぎました。
とにかく無事に陸に帰ることを最優先とするため、無駄な動きを減らし、空気を消費しないことに専念。インストラクターや友人の助けもあり、なんとか陸地まで戻れました。
陸上で確認すると、タンクの残圧(中の空気)は、ほとんど残っていない状態でした。
水深に注意 無駄な動きを減らすことも大事
空気の消費を減らす方法として、水深に気を付けるほか、無駄な動きを減らすことも大事になるそうです。また頭で考えすぎても空気を消費してしまうため、頭を空っぽにすることも大切だと聞きます。
無駄な動きを減らし、水深や水温に注意し、でも考えすぎないこと──今まで約60本ダイビングをしましたが、まだまだ経験が足りないなと感じました。
唯一良かったことは、“溺れかけている状況”にも関わらず、冷静に対処できたことです。ダイビングライセンス講習の際も、「冷静でいること」は口酸っぱく言われました。ここで冷静さを欠いて呼吸を忘れたり、バタバタ焦ってしまうことが水難事故につながります。
そういった意味では、言葉を話せない水中であるにもかかわらず、状況判断して空気を分けてもらえたのは良い対応だったと思います。
ダイビングは楽しいですが、気を抜くと一瞬にして命を奪う危険性も含みます。今後も冷静さを欠くことなく、でも楽しみながら、魚たちの世界に行きたいと思いました。
(サカナトライター:みのり)
2