ブロキスという熱帯魚がいます。
この魚はコリドラスの仲間で、ペットショップではエメラルドグリーンコリドラス(通称エメコリ)という名前で売られていることもあります。
では、ブロキスとはどのような魚なのでしょうか。
人気の高いコリドラス
まず、ブロキスを紹介するには、欠かせない存在がいます。それがコリドラスです。
コリドラスとは、南米原産のナマズの仲間の総称で、丸みのあるかわいらしいフォルムが特徴。様々な熱帯魚と混泳もできる温和な性格から人気の熱帯魚です。
吻(ふん)と呼ばれる口とヒゲを使って、水底に沈んだ餌を探して食べていることから「水槽の掃除屋さん」としても知名度があります。
愛嬌たっぷりじっと底に張り付き族(提供:さご)また、コリドラスは種類が豊富で、コレクション性も高く、アクアリストにはコリドラス専門で飼育している人もいるほどです。
コリドラスの分類
そんなコリドラスですが、2024年に分類の大改変がありました。
それまではナマズ目コリドラス亜科コリドラス属として200種類程度のグループとされていましたが、コリドラス達を細かく分類する流れの下、7つの属に分かれることになりました。
そのような中、ブロキスの仲間はコリドラスとは別の分類とされたのです。
ブロキスってどんな魚?
先の改変において、ナマズ目コリドラス亜科ブロキス属は43種類となりました。
非常に多くの種がブロキスとして扱われるようになったわけですが、特に今回紹介したいのはブロキス属の中でも「ブロキス・スプレンデンス」という種類です。
この種は2003年にコリドラス属として扱われるまでは、旧ブロキス属として3種からなるグループに所属していました。
生態としてはコリドラスとほとんど一緒で、ペットショップでも「エメラルドグリーン・コリドラス」という名前で売られていることもあります。
ブロキスはコリドラスの仲間 だけどちょっと特徴的?
2024年以降の現ブロキス属はゲノム情報などによる分類のため、一概には該当しませんが、2003年以前の旧ブロキス属3種においては、見た目上でも他のコリドラス属とは少し違った特徴があります。
現在のペットショップでは、ナマズ目コリドラス亜科ホプリソマ属やオステオガステル属に分類されるコリドラスをよく見かけます。
エメラルドグリーンの魚体が美しい(提供:さご)例えば、有名なコリドラスパンダやジュリーなどはホプリソマ属ですし、アエネウス(赤コリ、白コリ)はオステオガステル属に分類されます。ですが、それらは見た目上ではほとんど違いが分かりません。
旧ブロキス属は、それらと比べると「背ビレ」と「大きさ」に特徴を持っています。
背ビレの違い
コリドラスの他の種は背ビレの軟条(1番前にある棘条を除いた「ひれすじ」のこと)が6〜8本ですが、旧ブロキス属には10本〜18本の軟条があることが分かっています。
2003年まではこの特徴によって旧ブロキス属が構成されていたことを考えると大きな特徴と言えるでしょう。
筆者の経験上、コリドラスは背ビレと脂ビレは明確に別れていますが、ブロキスは背ビレが脂ビレの程近くまで続いていることが多い印象です。
大きさの違い
コリドラスと比べるとやや迫力のあるボディ(提供:さご)比較的大きくなることの多い、ロングノーズコリドラスと呼ばれた種たちは別の分類となったため、現在ホプリソマ属やオステオガステル属のコリドラスは最大5〜8センチ程度のものが多いです。
それに比べて、旧ブロキス属は最大9〜15センチ程度になるため、大型化する種が多いです。筆者が飼育する「ブロキス・スプレンデンス」も最大で9センチ程度になる種類です。
ブロキスの魅力とは
筆者は、ブロキスにはコリドラスにも負けない魅力があると思っています。
まずは、底砂に口先を入れて餌をモフモフと探す仕草や、丸くて可愛らしいフォルムがコリドラスよりも大きい体で見られることです。水槽の近くで見ると迫力もあって見応え抜群で、コリドラス達と一緒に泳いでいると一家のお父さんのように見えて非常に愛着が湧いてきます。
また、エメラルドグリーンに輝くボディも魅力的で、泳いでいる姿はまさに宝石のよう。毎日眺めていても飽きない輝きを放ってくれます。
特に筆者が推しているポイントは背ビレが大きく、ヒゲが長くてしっかりしているところです。可愛らしいフォルムを持っていながらも、しっかりと主張のある背鰭とヒゲがブロキスのかっこよさに繋がっていて、非常に魅力的だと感じています。
もし、タンクメイトとしてコリドラスの導入を考えているなら、ブロキスも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:さご)