海の生きものと聞いてどのような生物を思い浮かべますか?
海には、クジラやイルカといった哺乳類、エイやサメといった軟骨魚類、マダイやブリといった食べて美味しい魚たち……など魅力的な生きものがたくさんいます。
そのなかでもタコ・イカをはじめとした無脊椎動物は、姿や形、色などその見た目は様々で、生態も多様性に富んでいる<超・不思議な生きもの>といっても過言ではないでしょう。
昨今はそんな無脊椎動物に関する書籍も多数刊行されています。そこで、今年刊行された無脊椎動物の本を4冊ピックアップしました。
無脊椎動物の魅力ある世界を一緒に覗いてみましょう!
タコとイカの知性に迫る『タコ・イカが見ている世界』
タコ・イカの進化の歴史や身体構造、知性の在り方までを紹介・解説したのが、『タコ・イカが見ている世界』(吉田真明、滋野修一[2025]、創元社)です。
『タコ・イカが見ている世界』(画像提供:サカナト編集部)海の生きもののなかでも、ひときわ異彩を放つタコ・イカといった頭足類たち。
頭足類は貝類と同じく軟体動物門に属しますが、貝殻はもっていません。進化のなかで貝殻は退化し、頭部が発達したのが彼らです。
この動物にはどこか私たちとわかり合えそうな雰囲気があり、そのミステリアスな雰囲気が私たちを惹きつけます。
タコとの日々に宿る喜びと切なさ『海の賢者タコとくらす』
『海の賢者タコとくらす』(もち(2025)、さくら舎)は、一般家庭でタコを飼っている著者・もちさんが、日々の暮らしを共にした記録を綴った実録エッセイです。
この本で紹介されているのは、人間と暮らすタコのはなし。
『海の賢者タコとくらす』(画像提供:サカナト編集部)人間と一緒に過ごすとき、タコはどんな顔をみせてくれるのでしょうか。共に暮らす楽しさや切なさを鮮明に描き出した一冊です。
巻末には「タコの飼い方」をまとめた特別付録も収録。読みながらタコと暮らす穏やかな日々を思うと、心が躍ります。
ヘンテコで面白い無脊椎動物の世界『海のちいさないきもの図鑑』
無脊椎動物といえば、イカ・タコだけではありません。地球には、背骨(脊椎)をもたない無脊椎動物が、約100万種以上暮らしています。
『海のちいさないきもの図鑑』(むせきつい屋(2025)、西東社)は、そんな無脊椎動物にスポットをあて、多彩な魅力を紹介していく一冊です。
『海のちいさないきもの図鑑』(画像提供:サカナト編集部)照会されている無脊椎動物は約60種。イラストと写真、漫画で、生きものたちの魅力を余すことなく紹介しています。
図解やたとえが豊富で、読めば自然と理解が深まるような仕掛けがたくさん用意されています。
小さくて可愛い海洋生物がたくさん『海のあかちゃん』
無脊椎動物の魅力といえば、なんといってもその可愛さでしょう。
そんな愛らしい姿に触れることができるのが、『海のあかちゃん』(でんか(2025)、ワニブックス)です。
『海のあかちゃん』(画像提供:サカナト編集部)著者であるでんかさんは、東京海洋大学で無脊椎動物を学んだ後、海産無脊椎動物の増養殖や育種の現場に携わりながら、フィールド観察や撮影、執筆活動を行っています。SNSで話題になっていることも多く、その話題はほとんどが無脊椎動物。
本書ではウニやカニ、ヤドカリ、ヒトデ、ウミウシやイカ・タコ──といった多様な生きものたちが登場します。
本書の大きな特徴は、会いに行きたくなったときのヒントが掲載されていること。
各生きもののページには生息域や著者が実際に出会った場所が掲載されており、巻末には探し方や調べ方、必要な道具や観察のコツ、毒を持つ生きものへの注意点などが丁寧に解説されています。
計り知れない無脊椎動物の魅力
どれだけ知っても奥が見えない……水生無脊椎動物の魅力はまさに沼のよう。
本を通して彼らのことを知れば、きっと実際に会いに行きたくなること間違いなし。
みなさんもぜひ、この沼に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?
(サカナト編集部)