一般社団法人日本昔ばなし協会が推進する「海ノ民話のまちプロジェクト」では、日本中に残されている海にまつわる民話や伝承を選定し、「海ノ民話アニメーション」として制作、公式YouTubeチャンネルなどで公開しています。
今回、愛媛県四国中央市に伝わる海の民話を題材にしたアニメーション『鯛寄せ石』が、地元企業との連携を通じて地域の魅力発信と海の学びにつながる取り組みを展開。物語の世界観と四国中央市の風土を感じられるコラボ商品2種も発売されました。
生態系を乱す行為に警鐘を鳴らす
『鯛寄せ石』は、漁師から「海底に白く光る石があり、鯛が群れる」と聞いた庄屋が大金を払い場所を聞き出し、石を庭へ運ばせ盛大な宴を開くものの、庄屋の家には災いが続くようになる──という物語。
この地域の人にとって、海が生活を支える場所である中、海の恵みを人と分け合うことの大切さを伝え、漁場の独占や資源の乱獲など生態系を乱す行為に警鐘を鳴らす内容です。
なお、話に出てくる“不思議な石”は、現在も市内にある三島神社に「鯛寄せ石」として祀られており、観光スポットの一つとなっているといいます。
地域での活用も
四国中央テレビの地域チャンネル「コスモスチャンネル」では、アニメ完成に伴う市長表敬訪問と完成記念上映会の模様を放送。大西賢治市長は、「愛媛の鯛めしに関する取組と、本事業の動きが同じ時期に重なったことに不思議な縁を感じており、四国中央市とのつながりを改めて実感する機会となった」とコメントしています。
海ノ民話アニメーション「鯛寄せ石」(提供:ソーシャルアクションネットワーク)放送と連動した上映会では、参加者が実際に「鯛寄せ石」や庄屋が歩いたとされる「汐くみ」の地を訪ねるフィールドワークも行われ、学んだことを実際に体験するプログラムも実施されたといいます。
民話の世界観を味わうコラボ商品2種が発売
アニメの放送と並行して、四国中央市内の事業者とコラボレーションした商品2種が今年2月から販売されています。
いりこの商品「ひうち媛いりこ」は、アニメのワンシーンを印刷したシールを貼り、漁の情景や「鯛寄せ石」を見つけた瞬間を切り取ったビジュアルで物語の世界観を表現。 一方、老舗和菓子店「菓匠 たつの屋」は銘菓「汐くみ」とタイアップししています。
「ひうち媛いりこ」「銘菓 汐くみ」(提供:ソーシャルアクションネットワーク)いずれの商品も、四国中央市の風土と民話「鯛寄せ石」の物語性を同時に感じられる内容とし、購入をきっかけに作品や地域に親しみを持ってもらう狙いだといいます。
子どもたちが「海」と出会う学びの場に
上映会後のフィールドワークでは、参加した子どもたちから「庄屋さんが鯛を大切に思っていることがよく分かった」「アニメを見てから実際の場所に行くと、お話の内容がすごくよく分かった」といった声が寄せらたそうです。
アニメで物語に触れ、続いて実際の「鯛寄せ石」や「汐くみ」の地を訪ねる体験は、昔話を通じて海と人との関わりを自分ごととしてとらえるきっかけになっているようです。
(サカナト編集部)