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春に産卵期を迎える「イサザ」郷土料理に使われる琵琶湖の固有種とは?

春が近づきシロウオ漁のシーズンとなりました。春を告げる魚である「シロウオ」は別名イサザとも呼ばれていますが、標準和名がイサザの魚もいるのをご存知でしょうか?

この記事ではイサザという魚についてご紹介します。

どこにでもいそうだけど琵琶湖固有種

イサザ(提供:PhotoAC)

イサザはハゼ科・ウキゴリ属の淡水魚で、ハゼ科・シロウオ属のシロウオとは別の魚。

イサザという変わった和名は細小魚(いささうお)が訛ったものと言われています。また、本種の学名はGymnogobius isazaであり種小名にもイサザの名が使われています。

ウキゴリ属は日本に幅広く分布するハゼ科のグループですが、イサザは琵琶湖のみに生息する琵琶湖固有種です。本種は琵琶湖を代表する湖魚(こぎょ)の一つで、ビワマスやホンモロコと共に「琵琶湖八珍」に選定されています。一方、シロウオは日本各地の沿岸~河川に生息する小型魚で琵琶湖には生息していません。

イサザは同属のウキゴリに酷似するものの尾柄部(臀びれ基底後端~尾びれ起部まで)が細長いことや第一背鰭の色彩から区別することが可能です。

イサザの体長は6センチ程と小さいものの、琵琶湖周辺では食用として価値が高く比較的高値で取引されています。体長2センチほどの個体は水深20メートル前後に生息しますが、成魚になると30メートル程に生息するようです。産卵期である4~5月になると水深7メートル以浅にまで移動し、石の裏に産卵します。産卵期の個体は腹部に黄色い婚姻色が出現し美しい色彩を持つことが特徴です。

食性はプランクトン食であり、主にヨコエビなどの動物プランクトンを食べています。昼間は湖底にいますが、夜間になると浮上し餌を食べる生態も本種の特徴。またイサザは環境省のレッドデータブックでは純絶滅危惧種として掲載されています。

湖で底引き網?イサザを獲る沖びき網

イサザは小型種でありながら味が大変良いことが知られており、10~4月にかけて漁が行われています。イサザは沖(ちゅう)びき網と呼ばれる底引き網のような漁法で漁獲され、この漁ではイサザの他にスジエビなども漁獲されます。

イサザの漁獲量は変動が大きく1980年代は多いときで500トン以上の漁獲があったものの、1990年中ごろには1トン以下まで減少してしまったそうです(イサザ仔魚Gymnogobius isazaの浮遊期における鉛直分布と初期餌料)。近年では2014年に61トンの漁獲があったものの2021年には漁獲量が7トンであり(滋賀県-水産統計)、漁獲量に大きな変動があることがよくわかります。

現在、琵琶湖の漁師は高齢化や担い手不足などからイサザ漁を行う漁師も減少しているそうです。

イサザを使った郷土料理「いさざ豆」

そんなイサザですが、佃煮などで食されており琵琶湖周辺には本種を使った郷土料理が伝承されています。漁獲量に変動はあるものの、漁港付近や湖魚を専門に扱う店では鮮魚などで販売されており、家庭でも食べる文化があります。

「いさざ豆」は生のイサザと大豆を一緒に佃煮にしたシンプルな料理。滋賀県では湖北地域を中心に広がり、県内全域に伝承されているようです。いさざ豆は現代でも家庭で作られている料理であり、特に湖北地域では冠婚葬祭に欠かせないものだといいます。他にもすき焼きに似た滋賀県名物「じゅんじゅん」にもよく合うそうです。

イサザというとシロウオの別名のイメージが強いですが、実は琵琶湖にはイサザという固有種が生息しているのでした。さらにイサザを使った郷土料理が現代まで伝承されており、地域の食文化に根付いているのも面白いですね。

(サカナト編集部)

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