カワハギ(フグ目カワハギ科)
食用魚としておなじみのカワハギ(学名 Stephanolepis cirrhifer)も幼魚は流れ藻についているのがよく見られます。
卵は粘着卵ですが稚魚は流れ藻について泳ぎます。写真の個体は高知県で8月に採集した体長2.5センチほどの稚魚で、もうすでに成魚と同じような模様をしています。
流れ藻についているのは幼魚のうちだけで、やがて海底付近でくらすようになります。
アミメハギ(フグ目カワハギ科)
アミメハギ(学名Rudarius ercodes)はカワハギによく似た小型種です。夏~秋にかけて流れ藻等の浮遊物についているのがよく観察されます。カワハギに似ているのですが、白い斑点があるためカワハギとは識別しやすいといえます。流れ藻というよりも藻場や海草の多い場所に見られ、内湾を漂う流れ藻についていることが多いように思います。幼魚のほか成魚に近い個体も流れ藻につくようです。
ソウシハギ(フグ目カワハギ科)
ソウシハギ(学名 Aluterus scriptus)といえば、世界の三大洋(太平洋、大西洋、インド洋)に生息している大型のカワハギの仲間ですが、幼魚期に流れ藻に付く性質があり、それによって分布を広げたのかもしれません。
日本でも北海道以南の各地に分布しています。成魚は毒々しい斑紋で知られているソウシハギですが、流れ藻についている幼魚は全身が黒っぽく、地味で目立ちません。
ただし掬って水槽の中に入れると、茶色くなり黒い点々が目立つようになります。
なお、ここで紹介したカワハギ科魚類のほかにも、ハクセイハギ属の種などが流れ藻についていることがあります。
アミモンガラ(フグ目モンガラカワハギ科)
モンガラカワハギの仲間も流れ藻についていることがあります。とくにアミモンガラ(学名 Canthidermis maculata)は流れ藻や流木など浮遊物によくついています。
アミモンガラはモンガラカワハギ科の中でもとくに広い範囲(三大洋の暖かい海)に見られますが、やはり流れ藻につくことで分布を広げたのでしょう。
ただ日本海沿岸など冬に気温が一気に下がるようなところでは越冬できず、日本海岸では冬ごろになるとアミモンガラが弱って岸に流れ着く、ということもよくあります。
高知県ではこのほかキヘリモンガラの幼魚と思われる個体も流れ藻についているのを確認しています。