海水魚を飼育する際には、濾過や水の量、温度や塩分など海を理解し、その環境になるべく近い環境を作ることが大切です。
そして、魚たちが過ごす環境に必ずあり、重要なのが水流です。今回は、海水魚飼育における水流の大切さについて解説していきます。
海の中の流れは複雑
海を見ると波の動き方がわかります。水中に潜ると人間では抵抗できないくらいの強い流れがあったり、逆に体が安定する緩やかな流れがあったりします。
魚たちがすむ海は、水の流れの強弱や方向が複雑なのです。
風によって波が作られ、太陽の熱や潮の満ち引きによって大きな水の流れが発生します。岩や地形の変化があると、流れがそこにぶつかることで新たな流れが生み出されます。
これを水槽内で100%再現することは難しいですが、魚たちがすむ海という環境における水流の複雑さについて理解する必要があるのです。
水槽内での<水流>の再現
水槽内では水流ポンプを使って流れを作ります。
できれば海の環境を再現するためにポンプの流れを間欠的にし、水流の強弱を変えることで単一な流れではなく複雑な流れを再現することができます。
水槽用の高級水流ポンプには海の環境を再現できるようにプログラムできるものや、簡単に強弱を変えられるものなど様々あります。安い水流ポンプはそこまでの機能はないですが、流れを作ることのメリットはあるに越したことはありません。
水流ポンプを使用して水槽内に流れを作る際には、水槽内の水の流れを考慮してポンプを設置しましょう。ポンプから出てきた水がどこにぶつかると全体を掻き回すような水流になるか、止水域(水の流れがないところ)はどうやったらできないかを意識する必要があります。
水槽のサイズによって、水槽内の十分な水流を1台で賄えない場合は、もう1台増やしたり流量の大きな強いポンプにしてみたりと工夫してみましょう。
水流が最も必要な生物は?
魚は自分で泳げるため水流に対してはそこまでシビアになる必要はないですが、サンゴなどの動かない無脊椎動物にとっては水流がとても大切になってきます。
複雑かつ大きな流れ、餌を運んでくる流れ、綺麗な水が運ばれる流れ、自分についた汚れを吹き飛ばしてくれる流れ等がないと動けない生物にとっては死活問題になります。
この点がやはりサンゴの飼育が難しい要因とも言えます。
海水魚における水流の大切さは魚を飼育する上で重要な要素になります。魚たちが海にいるようだ!と勘違いするような流れを意識することで魚たちがより気持ちよく生活できより長生きできることできることでしょう。
(サカナトライター:さかなのみかた)