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ガラス質の綺麗な殻を持つ植物プランクトン<珪藻>【私の好きなサカナたち】

Web『サカナト』には様々な水生生物好きのライター(執筆者)が所属しています。そんなライターの皆さんが特に好きなサカナ・水生生物について自由闊達に語らう企画「私の好きなサカナたち」。今回はサカナトライター・骨密堂さんによる「私の好きなサカナたち」をお届けします。

皆さんは珪藻という植物プランクトンの仲間を知っていますか?

珪藻とは淡水から汽水、また南極海など様々な場所に分布する藻類のグループです。

不等毛植物の珪藻綱に分類され、ガラス質の綺麗な殻を持つことが特徴です。今回は不思議な姿で生きる珪藻についてその生態や魅力を解説していきます。

珪藻の生態について

珪藻はガラス質の殻を持っています。この殻は生きていく上でどのように役立っているのでしょうか?

それを知るにはまず、海の環境の特性を知る必要があります。水には光を吸収する性質があり、これにより海の深層に行くほど光が届かず暗くなっていきます。

太陽の光を使って光合成を行う植物プランクトンにとって、光はなくてはならない存在です。生き残るためには太陽光の届く海の表層へ留まる工夫が必要になります。そのため、植物プランクトンは海に適応するため様々な進化をしています。

珪藻のユニークな生存戦略

例えば、渦鞭毛藻は体を小型化し、鞭毛で泳いで浮きやすい体に進化しました。これに対して、珪藻はガラスの殻を使ったユニークな生存戦略を持っています。

渦鞭毛藻とは逆にガラスの殻で体を大きくしたり、集まって群体を作ったり(図1)して水に浮きやすくなるよう進化しました。

図1(提供:骨密堂)

他にも他の藻類に付着する底生の種など(図2)、多様な生態を持っています。

図2(提供:骨密堂)

また、多様な珪藻の殻は種独自のものであり、珪藻の研究者は殻がどんな形をしているか、表面に穴や溝によりどのような模様があるか観察して種の判定を行なっています。

珪藻の利用

皆さんは珪藻土を知っていますか?

珪藻土とは珪藻が地中に堆積してできた化石であり、日用品に利用されています。

例えば、珪藻の殻は表面に細かい穴が空いているという特性があるため、断熱性の高さから七輪の材料になっています。

このように珪藻の殻はただ綺麗なだけでなく、私達の生活を支えてくれています。

珪藻の魅力

キラキラしたガラスの体やユニークな生態など魅力に満ちた珪藻ですが、筆者は謎に満ちた部分が多いところが1番の魅力だと思っています。研究がまだまだ発展途上であるため、次々に新種が発見されています。新種の中には淡水魚の水槽に湧いた藻から発見されたものもあります。

身近に新種の珪藻がいるかもしれない、そう考えるとなんだかワクワクしてきませんか?

珪藻の多様性に興味を持った方には『珪藻観察図鑑』(誠文堂新光社)や、国立科学博物館地球館地下2階にある珪藻に関する展示がおすすめです。

(サカナトライター:骨密堂)

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骨密堂

骨密堂

魚の骨が好きすぎる海大生

2003年5月生まれ。東京海洋大学在籍。趣味は骨格標本を作り。サカナアパートメントで骨格標本専門店を運営している。学内の3つのサークルを掛け持ちしており、学内学外問わず精力的に活動している。これまでの経験を生かして水産や海洋生物を楽しく知ってもらえる記事を書いていきたいです。

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