皆さんは「駅から1キロ圏内の場所にワニや毒ヘビのいるマングローブ林があるよ!」と言われたらどうしますか?
きっと多くの方は驚きますよね。そして、恐ろしさを感じ、近寄りさえしないかもしれません。
しかしそんな危険なマングローブでも、“生き物みたさ”に喜んで飛び込む者もいるのです。
今回は筆者と友人が実際に足を踏み入れた、東南アジアのマングローブ林で見た生き物たちや体験したことをご紹介します。
マングローブとは
マングローブは、熱帯・亜熱帯地域にある淡水と海水の混ざり合う場所に生育している木の総称です。この植物が集まっている場所をマングローブ林といいます。単にマングローブということもありますが、この記事ではマングローブ林で統一します。
国内では西表島、石垣島、宮古島、沖縄本島などにあるのがよく知られているのではないでしょうか。本土に住む方にとってはほとんど馴染みがないですが、水族館でマングローブ林の環境を模した展示を見たことがあったり、観光でマングローブ林に訪れたことがあったりする方はいるかもしれません。
根っこの間を泳ぐ汽水魚、その上を跳びはねるミナミトビハゼ。そうした場所こそがマングローブ林です。
今回私と友人が訪れたのは赤道直下の国、シンガポールです。駅を降りて徒歩5~10分の場所に気軽に訪れられるマングローブ林があると聞き、僕と友人は旅行最終日に興味本位でその場所を訪れました。
駅近! だけど危険なマングローブ
〇〇駅から徒歩5分、キングコブラやイリエワニの住むマングローブ林! ……何を言っているんだ? と思うかもしれませんが、私が訪れたマングローブ林は本当にそんな環境でした。
実際に、訪れたマングローブの入口には「キングコブラやイリエワニに注意!」という看板が。日本で自然観察へ行っても出会うことの少ない危険な生き物たちがここに住んでいると思うと、期待と緊張感が高まります。
そう思いながらも今更引き返せず進んでいくと、早速小さなヘビに遭遇しました。さっき「キングコブラに注意」なんて看板を見たばかりのため、友人は怖がって私にしがみつきました。
私は連日の旅の疲れで我を忘れていたのか、微動だにせず「あ、ヘビだー」と言いながらスマホで撮影。特に何事も起こりませんでしたが、今思えば得体の知れない生き物に遭遇したら、警戒するに越したことはないと思います。
魚の気配は水面から感じとる
マングローブの川は基本的に濁っており、シルエットで魚を探すことは困難です。しかしそれでも魚の気配を感じ取ることは出来ます。水面の揺らぎに注目するのです。水面付近を泳ぐ魚は泳いだ瞬間水面に波紋が広がります。
魚好きには伝わると思いますが、魚が水面付近で起こした波紋は水滴や葉っぱが落ちた時の波紋とは全く違うのです。明らかに生き物が意図的に起こしたであろう波紋が広がります。
目を凝らして水面を見ていると、やはり魚がいました。濁りがすごいので上手く写真は撮れませんでしたが、おそらくサヨリの仲間でした。
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