お寿司屋さんや居酒屋の生簀に入っているサザエ。底に転がっているものもいれば、ガラス壁面にしっかりくっついているものもいる。
みなさんはこのサザエが活発に動いているところを見たことがあるだろうか?
「最初のお寿司が運ばれてくる前にはガラス面にいたサザエがお会計の時には底に移動していた」なんてことはあるだろうが、実際に動く場面や餌を食べているところを見たことがあるという人は少数派なのではないだろうか。
普段は気軽につぼ焼きにして食べているサザエだが、実はよくよく観察してみると大変面白い生き物なのである。
今回皆さんに提唱したいのはずばり、「サザエを飼って、サザエについてもっとよく知ってみませんか」ということである。
サザエは自然界でどこに住むんでいる?
まず、サザエは生簀にやってくる以前、つまり海の中においてはどのような環境に住んでいたのだろうか?
サザエは自然界では波が寄せる磯辺の岩礁から水深30メートルの深場までに生息する。小さな個体は浅瀬に、大きな個体は深場にと、成長とともに生息する場所の水深は深くなっていく。
サザエは岩に生えた海藻を食べて生活している。コンブやワカメ、アラメ、アオサといった海藻を食べるため、そういった海藻が生えている岩礁地にはサザエが多い。
サザエと暮らすには
本題に戻ろう。サザエを家に迎え入れるためには、どんな準備が必要だろうか?
まずは水槽が必要である。水槽の大きさは45センチほどあれば十分だが、60センチもあれば水質も安定するので安心だ。また、水槽を置く台があればより観察しやすくなる。
その場合は水槽の重量に耐えられる、専用の水槽台を買った方がいいだろう。
海水は、真水に溶かせば海水になる「人工海水の素」が売っている。その時に必要になってくるのが比重計というもので、これは大抵の熱帯魚店に売っている。
海水の汚れを浄化するろ過機も必要になってくる。ろ過機には、上部フィルター、底面フィルター、外部フィルター、外掛け式フィルターの4種類あるが、初心者向けなのは外掛け式のフィルターだろう。サザエを飼うのであればこれで充分である。
占めて2万円ほどである。サザエ以外の生き物も飼うことができるので、なかなかいい買い物ではないだろうか。
サザエを迎え入れる
装備がそろったところで、さっそくサザエを迎え入れよう。
ここで注意しなければいけないのが漁業権の問題である。日本の磯にいるサザエは勝手に捕まえると漁業権に抵触し、密漁になってしまう。
わざわざ海へ行かなくても、魚屋に行けばサザエは売っている。おとなしく活きのいいサザエを買って来よう。
売り場の温度は低く設定されていることが多いので、サザエを室温に慣らしてから、そっと用意しておいた水槽に入れてみよう。2時間もすればだんだん動き出すはずだ。
いつまで経っても動かないようであれば、すぐ取り出してつぼ焼きにして食べてしまった方がいいだろう。
サザエと一緒に暮らす面白さ
サザエのえさは、スーパーで売っている乾燥ワカメを水に戻したものでいい。これをピンセットでつまんでサザエに近づけると、すぐ反応して嚙り付こうとする。
サザエは案外表情が豊かで、調子がいいと生き生きして見える。こういうときはだいたい触覚がピンと伸びている。
サザエというと食材のひとつとしてしか認識されていないが、一緒に暮らすとまた違った表情が見えてくる。あなたもおうちにもサザエ、いかがですか。
(サカナトライター:宇佐見ふみしげ)