カニは言わずと知れた高級食材ですが、カニの中でも「幻のカニ」と呼ばれるものがいます。
この記事では、京都府京丹後市丹後町にある間人漁港で水揚げされる「幻のカニ」についてご紹介します。
幻のカニは間人で水揚げされる
人々から「幻のカニ」と呼ばれるカニの正体は、京丹後半島にある間人(たいざ)漁港で水揚げされる最上級ブランドのズワイガニです。
間人漁港では毎年11月6日にズワイガニ漁が解禁され、5隻の小型底曳網船が漁を行います。漁場が京都府最北端、経ヶ岬(きょうがみさき)から20~50キロ沖合と比較的近場であることから日帰りでの漁が可能で、その日のうちに新鮮なズワイガニを水揚げすることができるのです。
水揚げされたズワイガニは厳しいチェックが行われ、選ばれた個体のみ「幻のカニ」とも呼ばれる最上級ブランドの「間人ガニ」の証として緑色のタグが付けられます。
間人ガニが高級なワケ
では、なぜ「間人ガニ」が最上級ブランドガニ、「幻のカニ」と呼ばれているのでしょうか?
まず、漁獲されたズワイガニすべてが「間人ガニ」となる訳ではないという点が挙げられます。先ほどもご紹介したように「間人ガニ」は厳格な選別の結果、選ばれた個体のみに与えられる名です。選別の基準は重さや大きさなどの基本的な項目から、キズの有無や色、ツヤなど約50項目にも及ぶといいます。
「間人ガニ」が最上級、「幻のカニ」と呼ばれる理由は厳しい選別だけではありません。
間人漁港ではカニ漁を行う船も5隻しかなく、漁期や天候の関係で出漁できる日数が決まっていることから、漁獲量そのものが少なく希少性を高めています。また、冬の時期は海が荒れやすく常に危険と隣り合わせであることもこのカニが「幻のカニ」と呼ばれる所以です。
幻のカニであるが故にこんな事件も
様々な理由から「幻のカニ」と呼ばれる「間人ガニ」。その希少性から初セリでは5杯で100万円以上の値が付いたこともあるとか。
一方で、その希少性から産地偽装事件が発生してしまったこともあります。
2023年12月に京都府京丹後市の漁業関係者は「間人ガニ」の証である緑色のタグを他産地のズワイガニにも付ける目的で水産会社の元役員に譲渡していたことが明らかになりました(『幻のカニ』の漁船関係者の女 ブランド認定タグを水産会社の男に譲り渡し商標権侵害した罪で略式命令-関西テレビNEWS)。
これを受け、京都府漁業共同組合などではタグに通し番号を付けるといった再発防止策を今年11月から導入する見込みです。
その希少性の高さから産地偽装にまで発展する「間人ガニ」。その価格は初セリで5杯100万円以上と非常に高価なものとなっています。もし機会があれば食べてみたいものですね。
(サカナト編集部)