「鳴門の渦潮」で有名な鳴門海峡で育つマダイは「鳴門鯛」と呼ばれており、全国で人気の高い魚です。
この記事では鳴門鯛の美味しさのカギや旬の時期、鳴門鯛の特徴などを紹介します。
潮流の速い鳴門海峡で育つから美味しい
鳴門海峡は「鳴門の渦潮」でも知られる、潮流の速い海です。その速さは、イタリアのメッシーナ海峡、カナダのセイモア海峡と並んで「世界三大潮流」と呼ばれるほど。鳴門海峡にすむマダイは、この厳しい環境の中で泳いでいるため筋肉が非常に引き締まっています。
また、渦潮は海全体を底からかき回すため、栄養分が全体に行き渡ります。これによりプランクトンが増加し、それを餌とする小魚や大きな魚が育まれます。豊富な栄養のなか育つことで脂がよくのることと、引き締まった筋肉の歯ごたえのある食感が、鳴門鯛が美味しいとされている所以です。
春の<桜鯛>、秋の<紅葉鯛>
鳴門鯛は年中釣ることができますが、春と秋が旬だと言われています。
3~5月のマダイは、桜の時期であることや、体の色が桜色になることから”桜鯛”とも呼ばれています。産卵を控えているため栄養を蓄えており、越冬したため体が締まっています。このことから、食感と脂の絶妙なバランスを味わえるのだとか。しかし、栄養を卵にとられてしまい身がやせ細っているともいわれています。
11~12月のマダイは、ウロコが鮮やかな紅葉色になることから”紅葉鯛”とも呼ばれます。冬を迎えるために栄養をたっぷりとったマダイは、脂のりがよく、甘みが増します。
また、1年を通して、目の上に青のアイシャドーがみられるマダイは上質だといわれています。マダイを選ぶときの参考にしてみてください。
骨の節にみられるこぶ、鳴門骨
「鳴門海峡で育ったタイには骨の節にこぶがある」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。実際、鳴門鯛には、魚の中心にある大きな骨から分岐した骨の一部に異常な膨らみがみられることがあります。このこぶは鳴門骨と呼ばれており、鳴門鯛に時々みられます。
しかし、日本の他の海域のマダイや豪州のマダイ、タチウオなどでもみられるそうで、鳴門鯛に特有のものではないことがわかっています。鳴門骨の詳しい形成メカニズムははっきりとわかっていませんが、強い水圧による骨折や、速い潮流を泳ぐことによる疲労骨折が治癒する過程でこぶのように太くなっているのではないかと考えられています。
鳴門鯛は徳島県のプライドフィッシュ
鳴門鯛は徳島県のプライドフィッシュ(徳島の鳴門鯛-プライドフィッシュ)として紹介されています。徳島県の漁師は、鳴門海峡でもまれたマダイは一級品だとして鳴門鯛を勧めています。
近年では、鳴門海峡近隣の地域で地域限定のブランド化も推進されています。鳴門の渦潮を見に行った際には併せて鳴門鯛を食べて、鳴門海峡の潮流を五感で感じてみてください。
(サカナト編集部)