水槽内に生態系を再現する技術を生かした事業などを展開する株式会社イノカ(東京都文京区)は、“アクアリウムで、世界を変える”をテーマとするイベント「INNOVATE AQUARIUM FESTIVAL(イノアク)」内のプログラム「AWARD」のファイナリスト6組を発表しました。
同プログラムは水槽で様々な生物を飼育するアクアリストの知見や革新的な取り組みに焦点を当てたもの。アクアリストが自身の飼育する生き物の魅力を参加者の前で語り、社会や企業の課題を解決する独自のアイデアを発表します。
イノアクは、12月14日と15日の2日間にわたって開催。同プログラムの発表は2日目の15日に実施されます。
INNOVATE AQUARIUM FESTIVAL(イノアク)とは
「INNOVATE AQUARIUM FESTIVAL(イノアク)」は2023年2月に株式会社イノカが新設したイベント。
「アクアリウムで、世界を変える」をテーマにしており、社会の課題を解決することを目的にアクアリストの飼育技術をシチズンサイエンスとして結集することを目的としています。
今年のイノアクは12月14日と15日、東京都(東京都文京区後楽2-3-21 住友不動産飯田橋ビル)で開催。現地参加のほか、オンライン上でも参加することが可能です。
アクアリストの知見や取り組みに焦点を当てたプログラム「AWARD」
イノアク2日目の15日に開催されるプログラム「AWARD」はアクアリストの知見や取り組みに焦点を当てたプログラム。アクアリストたちが飼育している生き物の魅力を語るだけではなく、社会の課題を解決するアイデアも発表します。
本プログラムの審査基準はアクアリウムにおける「福祉性」「継続性」「独自性」「事業可能性」の4つとし、審査員として幼魚水族館長の鈴木香里武氏、さかな芸人ハットリ氏らが参加します。
予選を通過したファイナリスト6組
今年は水生生物だけではなく、爬虫類や両生類の飼育者もエントリー対象になり、幅広い分野からの応募があったといいます。
選考を通過したファイナリスト6組は、水草や魚類、爬虫類など様々な分野から選ばれた飼育者です。
「1トン水槽を用いたミニ地球プロジェクト」
虫歯天使氏は自宅で1トンの閉鎖系水槽で生態系を構築し観察する「1トン水槽を用いたミニ地球プロジェクト」を行うアクアリスト。
目標の1つであった魚類の世代交代の観察にも成功し、現在は論文執筆にも取り組む。イノアクへはミニ地球のプロジェクトを多くの人々に広めるために参加するといいます。
「子どもから大人まで、生涯の学びを届ける」
さとうかよこ氏は水槽内で放精放卵を起こし受精させた卵からウニを飼育しているアクアリスト。
飼育を通じた実験や観察を行うと同時に、自身が経営するオンラインショップとカフェでワークショップを開催。大学の研究にも協力しています。
多くの人々にウニ飼育の魅力を伝えるとともに、「磯焼け」やウニの生態的特性を活かしたアイデアを提案したいといいます。
「水草を通じた環境保全とアクアリウムの橋渡し」
水草に魅了されたかれっくす氏は自身が生まれ育った土地に近い愛知県・岐阜県・三重県の3県の水草のみを栽培する縛りのもと、自身の技術と知見を合わせて域外保全に取り組んでします。
現在、ペットショップと保全団体の両方に所属しつつ、アクアリストと保全活動の間で橋渡しをしながら20年間水草を楽しんでいるといいます。
「ブリーディングを通じたマイナー種保全」
じぇーてぃー氏は淡水ヨウジウオの繁殖に注力しているアクアリスト。
ヨウジウオ科は海産を中心に約300種が知られ、一部の種は淡水~汽水に適応。骨格で被われた体とオスが受精卵を保育する変わった生態を持ちます。
多くのヨウジウオは繁殖方法が確立されておらず、野生採集個体の消費に偏っているのが現状。これに対してじぇーてぃー氏は「目立たない生物を保護する重要性についても会場の人たちと考えていきたい」と語っています。
「理詰めでブリーディングのセオリーを覆す」
原田氏はグッピーの飼育を通じた人々との交流のほか、遺伝子研究に魅せられ「月刊アクアライフ」や国内のコンテストでの入賞した実績を持つアクアリスト。
一般的に完成度の高い個体を作るためには数が必要というのがセオリーですが、原田氏は遺伝子の知識や飼育を通した探求で「理詰めでそのセオリーを覆す」拘りを持っているといいます。
「252名の愛好家たちを代表し、カメレオンの魅力を世界に広める」
全国252名のコミュニティ「カメラオン会」を代表してプレゼンテーションするふじぴこ氏はカメラオンYouTuberとしても活動。
カメラオンが持つ特性や魅力だけではなく、保存のための繁殖や癒しの効果をテーマにした飼育、可能性を伝えます。
アクアリウムの可能性を知る
今回の開催で第3回となるイノアクは東京で開催。現地参加のほか、オンラインでの参加も可能です。
アクアリウムのまだ見ぬ可能性について探求するのには、いい機会かもしれませんね。「INNOVATE AQUARIUM FESTIVAL」の詳しい情報は、株式会社イノカ公式Webサイトで確認することができます。
(サカナト編集部)
※2024年11月29日時点の情報です