先日、X(旧Twitter)に「虹色アワビの作り方」が投稿されました。内容は、アワビを虹色にする酸性の液体の比較研究。その意外な作り方や綺麗な貝殻が反響を呼び、本記事執筆時点でリポストが約3700件、ブックマークは約8800件、いいねは2万件を超えるなど、多くの人に注目されています。
今回、サカナト編集部はこの投稿をした貝殻の問屋さんにインタビューを実施。虹色の貝殻づくりの方法についても、ご紹介します。学生の自由研究や趣味のハンドメイドに生かしてみてはいかがでしょうか?
虹色の貝殻づくりで準備するもの
準備するのは、まず酸性の液体。レモン汁以外は100円均一ショップなどのお店で購入できるものです。また、貝の光沢のもとである真珠層を溶かさないように貝殻に詰める油粘土と、貝を酸性の液体につける容器。この容器は観察しやすいように、プラやガラスなど透明のものが推奨されています。
準備物
◇酸性の液体(レモン汁以外100均✨
・穀物酢→pH3.5
・レモン汁→pH2.3
・クエン酸水溶液(2.5%)→pH1.8
・酸性洗剤(塩酸9.5%)→pH0〜1・油粘土(内側の真珠層を溶かさないように詰める
・容器(プラやガラスなど透明が◎
・ゴム手袋(素手はおててが溶けるよ!
・貝殻の問屋さんの貝殻 pic.twitter.com/5uQu4sngcC— 貝殻の問屋さん shop for sea shell & sea life | 貝殻ネタを毎日 (@kaigaradonya) February 20, 2024
内側の真珠層をを溶かさないように油粘土を詰め込んで、貝殻を酸性の液体に漬ければ、研究スタートです! なお、作業中は必ずゴム手袋をしましょう。
酸性の液体を比較 研究結果は?
酸性のpHが1違う=水素イオン濃度[H+]が10倍違う
・酸性洗剤(塩酸9.5%)→pH0〜1
・クエン酸水溶液(2.5%)→pH1.8つまり酸化力の差が約10倍あるということ。泡の出方の違いを観察するのも楽しいから透明な容器が良いね✨ pic.twitter.com/0cSIPeqIqL
— 貝殻の問屋さん shop for sea shell & sea life | 貝殻ネタを毎日 (@kaigaradonya) February 20, 2024
貝殻を酸性の液体に漬けると、
酸+炭酸カルシウム(貝殻)=酢酸カルシウム+二酸化炭素(泡)+水
という化学反応が起こるそう。ポスト上の動画では、この化学反応が起こり泡が発生している様子を見ることができます。
時間を置くと、炭酸カルシウムの層が溶けて貝が輝くように! キラキラと輝く貝殻はまさに宝石のようです。虹色になるものだけでなく、シルバー・ゴールド調に輝くものや、色調はそのままぴかぴかと輝くものなど貝によって個性が現れるのだとか。
貝を輝かせるのに丁度良い反応時間は、使用する貝や液体によってそれぞれ。薄い貝殻を強い酸性のものに浸けたり、浸ける時間が長すぎたりすると溶けて穴が開いてしまうこともあるそうです。
ご自身で工夫しながら取り組むと楽しさも倍増するのではないでしょうか!
貝殻の問屋さんへインタビュー! 人気商品や投稿のきっかけも聞いてみた
この投稿をした貝殻の問屋さんについて紹介します。貝殻の問屋さんは、株式会社ホームテリアが運営している貝殻やサンゴ砂など、主に海の自然素材を専門で扱うネットショップです。貝だけでなく、ウニの殻やサメの歯、ヒトデなど様々な自然素材を扱っており、その商品数はなんと1500点以上。
サカナトではこの投稿をきっかけに、貝殻の問屋さんにインタビューを実施しました!
「貝殻を直接手に取って触れてもらう機会をもっと作りたい」
——「虹色アワビ」の作り方を投稿した理由は?
弊社では天然の貝殻を加工したアクセサリー用のシェルパーツも販売しているのですが、フォロワーさんからお手入れ方法の質問をいただいたのがきっかけでした。
▽貝殻の主成分は酸で溶ける炭酸カルシウム。汗は弱酸性なので極端ですがこんなことが起きます
「シェルパーツのお手入れどうすれば良いの?」
質問をいただいたので実験してみました。貝殻の主成分は酸で溶ける炭酸カルシウム。汗は弱酸性なので極端ですがこんなことが起きます pic.twitter.com/zUTNnL8ObK
— 貝殻の問屋さん shop for sea shell & sea life | 貝殻ネタを毎日 (@kaigaradonya) February 6, 2024
その流れで、「貝殻は酸で溶ける」と投稿したのが理由です。この投稿では、(酸性の洗剤を使用して)貝ボタンが付いた服を洗って貝ボタンがくすんでしまったり、溶けてしまったというリプライも寄せられました。
——「貝殻の問屋さん」で人気の貝殻は?
ハンドメイドや工作に使いやすいミックス(小さな貝殻の詰め合わせ)が人気です。一番人気は二枚貝や巻貝が10種類以上入っているミックスシェル(250円/100g)です。天然の貝殻を削り出したビーズなど、アクセサリー用のシェルパーツも人気で、現在約400種取り揃えています。今後1,000種を目標にしています。透明感や艶のある天然素材ならではの造形美にときめきながら、制作を楽しんでいただけると嬉しいです!
ヤドカリ用のセットも販売しており、GWや夏休みは特に多く購入いただいています。磯でヤドカリ採集をされるタイミングかなと想像しています。他にも、ホタテや牡蠣の貝殻など、料理の盛り付け皿に使うような貝殻も人気です。
また、今回磨いた夜光貝の原貝も人気ですが、職人が虹色に磨いた「真珠磨き」も30種以上取り揃えています。手間暇かかる真珠磨きをお手頃な230円~販売しています。
▽「貝殻の問屋さん」通販サイトはこちらから!
https://www.kaigaranotonyasan.com/
——サカナ好きな皆さんに伝えたいことは?
貝は地球上で昆虫に次いで種類が多く、10万種以上が生息していると言われています。空中以外ならどこにでも、それもサイズがミリ単位から1m以上のものまで多様です。海や水族館で魚に接する時、貝にも目を向けてみるともっと世“貝”が広がって楽しくなるかもしれませんね。
ネット販売中心の“貝社”ですが山口県宇部市では実店舗も営業しています。昨年は東京で2度イベント出展もしましたが、貝殻を直接手に取って触れてもらう機会をもっと作りたいと思っています。「こんな重さなんだ、こんなに艶々しているんだ」と感じながら。
特に子どもたち。幼少期の感動は一生ものになりますよね。私自身、幼少期の経験が生き物好き、貝殻好きにつながっています。貝殻のお“貝”物はぜひ「貝殻の問屋さん」へ。
貝殻が秘める不思議な魅力
貝殻の問屋さんのXでは、紹介した投稿以外にも貝殻についての投稿がたくさん。どれも多くの人に注目されています。このように、貝殻が秘める不思議な魅力は、サカナ好き以外にも広まっています。投稿を見て海や海洋生物に興味を持つ人もいるのではないでしょうか。
皆さんもぜひ貝殻の問屋さんでお“貝”物をして、貝の魅力に触れてみてください!
(サカナト編集部)