名城大学大学院総合学術研究科の景山伯春教授らの研究グループは、海藻などが作り出す紫外線吸収物質が血圧上昇を抑える作用を持つことを初めて発見しました。
この成果は「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」に掲載されています(論文タイトル:Comparative functional evaluation of the atypically modified GlcHMS326 and porphyra-334, two structurally distinct mycosporine-like amino acids)。
海苔のMAA
健康食品として知られる海藻。
海藻やシアノバクテリアで生産する紫外線吸収物質「MAA」は、紫外線から細胞を守る天然成分として化粧品分野で注目されています。
また、抗酸化作用や抗炎症作用を持つことも報告されており、スキンケアの観点からも注目の物質です。
焼き海苔(提供:PhotoAC)このMAAは我々がよく食べている海苔(スサビノリ)にも含まれていることが知られています。
一方、海苔は日常的に食べられているにも関わず、その健康作用について十分な検討は行われてきませんでした。
スサビノリが生産するMAAを評価
名城大学大学院総合学術研究科の景山伯春教授らの研究グループは、スサビノリに多く含まれるMMA「Porphyra-334」と、タイの温泉環境に生息するシアノバクテリアが生産するMMA「GlcHMS326」を対象に機能評価をおこないました。
スサビノリは日常的に食べられている食用海苔として知られており、現在の日本で流通する海苔の大分部は本種が占めています。
評価項目は抗酸化作用、抗糖化作用、コラゲナーゼ阻害作用に加え、血圧調整にかかわる酵素「ACE」への作用も検討。このACEは血圧を上昇させる反応に関係する重要な酵素で、これを阻害することにより血圧上昇が抑制することが可能です。
ACEの阻害作用が見つかる
評価の結果では、スサビノリとタイのシアノバクテリア、どちらから生産されるMAAにもACE作用を阻害する効果が初めて確認されています。
この発見は、MAAが経口摂取後に体内の健康維持に関係する可能性を示す重要な知見とのこと。また、ACEの阻害作用に関してはGlcHMS326よりPorphyra-334のほうが強い作用を示すことも明らかになったのです。
これらの結果は、普段食べられている海苔にも、今まで知られてこなかった健康機能成分が含まれていること示すものとなりました。
健康素材としての活用が期待
今回の研究によりMAAにACE の阻害作用があることが初めて確認されました。
また、この作用はGlcHMS326よりスサビノリに多く含まれるPorphyra-334が強い作用を示すことが明らかになっています。
今後、MAAは化粧品だけでなく健康素材としての活用が期待されています。
(サカナト編集部)