鮮やかな青い色彩で、背中に黄色帯があるハタ科のルリハタ。この魚はグラミスチンと呼ばれる粘液毒を出して、ほかの魚を殺してしまうことがあります。
そんなルリハタですが、食用とすることはできるのでしょうか。そして味は……?
今回はそんなルリハタについてご紹介します。
ルリハタとは
ルリハタ(学名Aulacocephalus temminckii)はスズキ目・ハタ科・ルリハタ属の魚。体は青く、体側の背部には目立つ黄色縦帯が入る美しい魚です。
冒頭の写真の個体は尾鰭が上と下に分割されているように見えますが、これは尾鰭が切れているためです。
シルエットはユカタハタやマハタなどのハタ族魚類にも似ていますが、頭部の涙骨表面に迷路状の隆起があるなど、変わった特徴をもっている魚です。
インドー西太平洋のあちこちに分布していますが、分布域は局地的でどこでも数多くはないようです。国内では伊豆諸島、小笠原諸島、相模湾以南の太平洋岸~九州沿岸にまで分布しています。
英語では“Goldribbon soapfish”といいます。Goldribbon は体の黄色帯をリボンに見立てたもので、soapfish は直訳すると「石鹸魚」ですが、これは体表から毒を出し、それにより水が泡立つところから来ています。
ルリハタの分類
ルリハタは皮膚から粘液毒を出します。これはグラミスチンと呼ばれるもので、食べると苦みがあり、多量に摂取するとヒトにも毒なのでよくありません。
飼育しているルリハタが弱ると粘液毒が多量に放出され、水槽が泡立ち、一緒に飼育している他の魚が死んでしまうことがあります。
従来はルリハタ同様に皮膚から毒を出すヤミスズキ、キハッソク、ヌノサラシ、アゴハタ、ジャノメヌノサラシなどからなる「ヌノサラシ科」という分類群にまとめられてきました。
現在ではハタ科に含めることが多いのですが、ルリハタ・ヤミスズキ・キハッソクのグループと、ヌノサラシ・アゴハタ・ジャノメヌノサラシなどのグループはそれぞれ若干離れた存在です。
他に体表から毒を出す魚としてはハコフグなどがよく知られています。ハコフグなどが出すパフトキシンも魚にとっては強毒であり、他の魚を殺してしまいます。
アクアリストの間では「ハコフグ科の魚は他の魚と一緒にかわないほうがよい」と言われ、キューブ状でかわいいミナミハコフグの飼育を断念する人もいますが、その理由のひとつがこれです(ほかの理由は餌を食う速度が遅いこと、病気になりやすいことも)。
また磯採集でたまに獲れるウバウオ科の魚や、ハゼ科のサンゴハゼ属の魚も粘液毒を有するとされ、これらの魚には注意が必要です。
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