カクレクマノミをはじめとするクマノミの仲間は、水族館の人気者です。その人気の秘密は、カラフルで可愛らしい見た目だけではありません。
「ワッギング」と呼ばれる独特な泳ぎ方に注目すると、クマノミの魅力をより楽しめますよ。
特徴的な泳ぎ方「ワッギング」とは
体をくねらせるようなクマノミの泳ぎ方は「ワッギング」と呼ばれています。大きな胸ビレを羽ばたかせるように、体全体をクネクネと動かす動作が特徴的です。
ワッギングは、イソギンチャクの周囲で泳ぐクマノミによく見られる動作でもあります。ゆらゆらと揺られるイソギンチャクに戯れているかのようで、クマノミの可愛らしさに魅了される一つの要因なのかもしれません。
なぜクマノミはワッギングをするのか?
クマノミの「ワッギング」は、イソギンチャクとの共生関係を維持するための重要な行動です。体をくねらせる独特な泳ぎ方には、イソギンチャクに新鮮な海水を供給する目的があります。
また、ワッギングによって「イソギンチャクのエサが海水にのって運ばれる」といった恩恵もあるようです。イソギンチャクが健康を保つためのサポートをすることで、クマノミに安全な住処を提供する共生関係が成り立っています。
なぜ、毒のあるイソギンチャクとの共生関係が成り立つのか不思議に思ったことはありませんか? どうやら、クマノミのワッギングが重要な役割を担っていたようです。
ほかの魚との泳ぎ方の違い
ワッギングは、ほかの魚には見られないクマノミ特有の泳ぎ方です。なぜなら、ワッギングは「イソギンチャクとの共生関係」を維持するために見られる動作だからです。
イソギンチャクの周囲で泳ぐクマノミを観察してみると、その場で停滞するかのように泳いでいるのがわかります。体全体をひねったり胸ビレを羽ばたかせたりするのは、多くの魚にとって「推進力」や「方向転換」に活用するための動作です。
しかし、クマノミは体や胸ビレを動かしながら、その場にとどまり続けています。ときには、後退することも。つまり、ワッギングが「移動するための動作ではない」と考えられます。
水族館でクマノミを観察するときには、ぜひ泳ぎ方の違いを見比べてみてください。
水族館でクマノミの泳ぎ方を観察してみよう
日本全国の水族館では、多くのクマノミの仲間が飼育展示されています。可愛らしい姿を楽しむだけでなく、ぜひ特徴的な泳ぎ方「ワッギング」にも注目してみてください。
魚の泳ぎ方に注目してみると、ユニークな動きに気づくこともあります。ワッギングがイソギンチャクとの共生関係に重要な役割を担っていたように、ふとした気づきが生き物の生態を学ぶきっかけになるかもしれませんよ。
(サカナトライター:taku)