北海道のブリや福島県のフグなど、近年、日本列島で漁獲される魚が変化しています。
南方種が本州で漁獲されることもしばしばあり、「北限記録」として報告されることも少なくありません。
徳島県と和歌山県では近年、フエダイ科、フエフキダイ科の漁獲量が増加しているようです。
南日本ではポピュラーな魚たち
フエダイ科とフエフキダイ科は南方を中心に分布する魚たちで、浅海から深海にかけて様々な種が生息しています。
現在、日本ではフエダイ科は55種、フエフキダイ科は33種が知られており、食用になる種も少なくありません。特に沖縄県、九州、小笠原などの南日本では漁業の対象とされており、市場や魚屋で普通に見られます。
また、どちらのグループも日本初記録種が多く見つかっていることから、近年、日本産として追加された種も少なくありません。
主なフエダイ科、フエフキダイ科
フエダイ科、フエフキダイ科の魚は味が良く大型になることから高値が付きます。
そのため、専門に狙う漁師も多く存在し、ハマダイやハマフエフキ、フエダイなど多種多様な魚が漁業の対象となっています。
ハマフエフキ
ハマフエフキは沖縄県で「タマン」と呼ばれており、沿岸で行われえる漁業においては最も漁獲される魚である他、遊漁においても多く採集される魚だそうです(秋田 雄一 ,太田 格,海老沢 明彦,上原 匡人,三原 正法(2021)ハマフエフキの移動生態と成育場保護区の効果)。
また、ハマフエフキは「クチビ」とも呼ばれており、これは本種の口内が赤色であることが由来。フエフキダイ科の魚の中にはホオアカクチビやムネアカクチビ、アマクチビのように「クチビ」が標準和名に用いられている種も少なくありません。
フエダイ
フエダイはフエダイ科フエダイ属に属し、このグループの中でも非常に高値で取引される魚です。
体側の白点から別名「シロホシフエダイ」と呼ばれる他、「アブラダイ」、「シブダイ」、といった呼び名も有名。産地では食用として重宝されています。
よく似た魚にナミフエダイがいますが、ナミフエダイの頬部には無数の縦帯が入ることから区別することが可能です。
徳島県と和歌山県のフエフキダイ科の魚
徳島県では長期的に海水温が上昇している他、2017年から続く黒潮蛇行の影響なのかフエダイ科、フエフキダイ科の漁獲が増加しているといいます。
徳島県で漁獲されるフエダイ科、フエフキダイ科魚類はフエダイ、ウメイロ、メイチダイなどがおり、いずれも近年は漁獲量が増加していることが判っています。また、和歌山県ではハマフエフキの漁獲量が2021年から急増しており、2022年においても9月末の時点で3トン以上の水揚げがありました。
こういった南方の魚が漁獲されると温暖化の影響を懸念する声があがりますが、徳島県では高値が付くハマダイ科やフエフキダイ科の魚が漁業者の所得につながるとして期待の声もあるそうです。
(サカナト編集部)