世界三大珍味である「キャビア」「フォアグラ」「トリュフ」は有名ですが、日本にも日本三大珍味があります。
日本三大珍味には諸説ありますが、代表的なのは「うに」「このわた」「からすみ」の3つです。それぞれ日本で獲れる海産物を使用した伝統食で、海から離れた場所でも食べることができるようにと、貯蔵や流通のための加工技術が活用されています。豊富な水産資源に囲まれた日本だからこそ育まれた食文化でしょう。
ウニと塩を混ぜ合わせた「うに」
日本三大珍味とされているのは生のウニではなく、生ウニを塩と混ぜ合わせ、水分を飛ばしペースト状にした「塩うに」という料理です。製品によっては「汐うに」とも表記されます。江戸時代、越前福井藩では年貢として納められていました。
ウニの可食部である生殖巣は非常に繊細で、空気に触れると溶けてしまうという特徴があります。そこで、海から離れた地域でも美味しいウニを食べられるようにこの加工法が広まりました。
ペースト状の塩うにには、磯の香りと旨味がぎゅっとつまっていて、お酒のおつまみにも、ご飯のお供にもぴったりです。
ナマコの腸を塩漬けにした「このわた」
このわたはナマコの腸の塩漬けです。尾張徳川家によって徳川将軍家に献上されていたことでも知られています。古くは能登、尾張、三河の「このわた」が将軍家への献上品として使われていたそうです。
このわたには、体の色が赤っぽい「アカナマコ」の腸がよく使われます。ナマコを生け簀に移し、餌を与えずに1~2日程度置くことで、砂や泥、糞を排出させます。その後、ナマコの腹部に切り込みを入れ、腸を引っ張り出します。腸管内部を海水中で洗い、塩に漬けてしばらく寝かせると完成。濃い潮の香りと独特の甘みが特徴です。
ボラの卵巣を塩蔵・乾燥させた「からすみ」
からすみは、真水に漬けたボラの卵巣を塩漬けし、塩を洗い熟成させた後に天日干しで乾燥させたもので、承応元年(1652年)頃に中国から長崎(当時の肥前)に伝わったと言われています。「海のチーズ」と呼ばれるほど濃厚な風味が特徴。からすみと大根を交互に挟んだからすみ大根は、からすみを使った有名な料理のひとつで、からすみの風味が引き立つことで人気です。
からすみは、形が中国から渡来した墨「唐墨(からすみ)」に似ていたことから名づけられました。ヨーロッパ、主に海産資源が豊富な地中海沿岸でも馴染みのある料理です。
一般的にはボラの卵巣が使われますが、香川県ではサワラのからすみも作られています。ボラのからすみがチーズのように濃厚なのに対して、サワラのからすみはぷちぷちとした食感が楽しめるそう。
日本三大珍味はお酒やご飯によく合う!
三大珍味はどれも塩辛い磯の風味と素材の旨味が強く、お酒に非常に合います。特に日本酒との相性は抜群で、居酒屋で提供されることもあります。
日本の伝統食である三大珍味。機会があれば、ぜひ味わってみてください。
(サカナト編集部)