キャビアはチョウザメの卵。ですが、キャビアにも種類があり、チョウザメの種ごとに風味が異なるそうです。
今回は、島根県邑南(おおなん)町でキャビアを製造販売されている株式会社セレビアの小笠原さんに「キャビアの味の違い」について聞いてみました。
キャビアにも個性がある
━━キャビアにも種類があるのですね。どのような違いがあるのでしょうか?
キャビアは、チョウザメの種類や個体によって少しづつ味や色も異なります。
食感としては「プチプチ」というよりはクリーミーで柔らかいものが多く、色も黒だけではなくバリエーションに富んでいます。
味も甘みのあるものから後味に程よい苦味を感じるものまで様々です。当社では5種類のチョウザメのキャビアを製造・販売しています。
━━チョウザメの種類による味の違いを教えてください。
「ベステルチョウザメ」のキャビアは、国内で最も多く養殖されています。ベステルチョウザメとは、オオチョウザメとコチョウザメの人工交配種です。
卵膜が柔らかくコクもあり優しい風味が特徴で、食感はクリーミー。個体により色・大きさ・味に個性があるのも特徴です。採卵までの期間は約7年前後です。
なお、オオチョウザメは排卵まで20年近くかかる種です。コチョウザメは排卵まで4〜5年と早めですが、卵の量が他のチョウザメに比べてとても少ないのです。その2種のいいとこどりをした交配種となります。
「シベリアチョウザメ」のキャビアは、ヨーロッパで多く生産されているキャビアのひとつ。卵膜が柔らかくクリーミーで香草のような風味とほのかに続く後味が特徴です。
キャビアの色は黒から濃い茶色をしています。採卵までの期間は約6年前後です。
「コチョウザメ」のキャビアは、チョウザメの平均採卵量が平均で魚体の1割ほどであるのに比べて、その半分である魚体の0.5割程しか取れない貴重なキャビアです。
そのため「幻のキャビア・ニコライ」等と呼ばれます。粒が小さめですが、キャビアの美味しさを全て兼ね備えていると評価されるほどで、ねっとりしており、凝縮されたうまみが特徴です。採卵までの期間は5年前後です。
「アムールチョウザメ」のキャビアは粒が大きく卵膜がしっかりしているので、これまで紹介したキャビアの中ではプチっとした食感が強めで、後味がさっぱりしています。
深いオリーブグリーン色からやや茶色がかった色をしていて、独特の風味と濃厚なコクがあります。採卵までの期間は約10年前後と、少し長めです。
「シロチョウザメ」のキャビアは、ほのかにバターを感じる繊細な味わいがあり、独特の風味と後味には舌に程よいチーズのような酸味も感じます。
色は黒から濃い炭色です。採卵までの期間は、アムールチョウザメと同じく約10年前後です。
美味しさ・安心・安全のため 1匹ごとにロット管理
━━美味しいキャビアにするために工夫していることはありますか?
当社では個体を混ぜることなく1匹ごとにキャビアを製造しています。他の魚種との食べ比べはもちろん、同魚種でも色やばらつきを少しでも少なくするためです(外国産も含め、同魚種製造の場合は数本まとめて製造するところもある)。
さらにその中で異なる味があれば、一味ごとに何種類もの検査を行います。
美味しさはもちろん、安心・安全をお届けするために努力を続けています。国産にこだわり「国産海水塩」を使用することで、まろやかで優しい風味を引き立てています。
利きキャビア
━━小笠原さんの「キャビアの好きな食べ方」を教えてください。
ボイルしたエビにキャビアをしっかり乗せ、オリーブオイルをかけると美味しいです。他にも、チーズにのせても美味しいですし、キャビアだけをそのまま食べても美味しいです。
自分好みのキャビアの食べ方を探すという楽しみ方もあります。当社では「利きキャビア」のできる商品も販売していますよ。
「美味しい」はもちろん「買ってよかった」「また次も」「あの人にも」と「喜」がめぐり続けることを目指しています。自由にキャビアを楽しんでいただき、キャビアの余韻をお楽しみください。
奥深いキャビアの世界
今回の記事では、日本でチョウザメの養殖からキャビアを製造をしている会社にキャビアについて伺いました。
世界三大珍味、高級食材というイメージもあり親しみの少ないキャビアという食材。しかしこうお話を聞くと、他の水産物と同様に、そう遠くの世界のものではないのだなと思わされます。
日本ではチョウザメ養殖が盛んになってきており、キャビアを製造・販売する会社も少なくありません。皆さんも是非、国産キャビアを楽しんでみてはいかがでしょうか?
(サカナトライター:ミドリフサあんこ)