メバル・ソイ類はいわゆる「根魚」と呼ばれ、釣りのターゲットとしてだけでなく味が良いことから食用魚として重宝されています。
中でもクロソイという種は一般的なソイ類として知られており、日本や韓国では欠かせない食材です。
この記事ではクロソイについてご紹介します。
クロソイとは
クロソイはスズキ目メバル科に属する海水魚です。
本種は北日本を中心に幅広く分布し、日本だけではなく朝鮮半島でもよく見られます。クロソイは全長60センチ程にまでなる大型種で、小型個体は沿岸の岩礁や藻場に生息。成長に伴い深場へ移動し、夜行性が強くなるようです。
胎生で、産卵期になるとメスは一度に数千から数万の仔魚を産みます。
クロソイの見分け方
クロソイを含むメバル科の魚は外見がよく似るほか、個体により色彩の変異があるため識別が難しいグループです。
クロソイもぱっと見は他のソイ類、特にマゾイ(タヌキメバル、キツネメバル)やムラソイに似ており、しばしば混同されることも少なくありません。
しかし、「涙骨」と呼ばれる眼と上顎の間にある骨の形状を見ることで、クロソイは他のソイ類と区別することが可能です。具体的にはクロソイの涙骨の下縁には顕著な棘が3つありますが、体色がよく似たキツネメバルなどは涙骨に顕著な棘を3つ持ちません。
クロソイの見分け方で迷った場合には涙骨を見れば比較的簡単に区別することができます。
北日本では一般的な魚 韓国でも重要な食用魚
日本に広く分布するクロソイ。特に北日本では一般的な根魚のひとつであり、ナガラソイやクロカラなど多くの地で地方名を持ちます。
本種は刺し網や定置網で漁法で漁獲されるほか、釣りのターゲットとしても人気が高く、沖合では大型の個体も釣獲されるようです。味が良いことから各地で食用として重宝され、定番の煮付けはもちろんのこと、大型個体は刺身でも食べられています。
また、隣国の韓国でもクロソイは重要な食用魚であり、フェ(日本でいう刺身)はクロソイ料理の定番だそうです。
クロソイは成長が早い
食用として人気が高いクロソイはソイ類の中では成長が早いことが知られており、北海道寿都町沿岸では満1歳で全長13センチ、2歳で22センチ、3歳で28センチになるそうです。
加えて移動範囲が限定されていることから、栽培漁業に向いているとされており、日本と韓国では積極的に種苗放流が行われています。
1999年より種苗放流を実施している岩手県宮古湾では放流後クロソイの漁獲量が増加傾向にあり、本種の種苗放流は有用性が高いことが判明しています。
北日本でよく食べられているクロソイですが、関東の魚屋でも見られる魚です。価格もカサゴやメバルと比較すると安いので見かけた際には食べてみてはいかがでしょうか。
(サカナト編集部)