水族館でペンギンのエサやりを見ていた時のこと。ふと、気になる発見がありました。
ペンギンたちはエサの魚を見ると、とても賑やかにアピールします。しかし一方で、エサを嫌がるようにそっぽを向くようなしぐさも見られます。
求めている魚と違ったのか、口元に魚を差し出しても見向きもしません。まるで野菜を食べたくない子どものような反応です。
そんな様子を見て、もしかしてペンギンには「魚の好き嫌いがあるのでは?」と興味が湧きました。
水族館でペンギンが食べる魚
水族館のペンギンたちは「キビナゴ」「イワシ」「アジ」「サバ」などの魚を食べています。ペンギンの種類や成長過程によって、さまざまな種類の魚を食べ分けているようです。
ペンギンも人間と同じように、同じ魚ばかりを食べると栄養バランスが偏ってしまいます。そのため、さまざまな種類の魚をバランスよく与えることは、ペンギンたちの健康管理に欠かせません。
しかし、ペンギンには好き嫌いがあるようです。健康に育ってほしいのに、嫌いな魚をまったく食べようとしない「飼育員泣かせ」なペンギンが話題になることも。
なぜ好き嫌いが分かれるのか
ペンギンたちは、魚の好き嫌いをどのような「基準」で選んでいるのでしょうか?
これについては、明確には判明していません。ペンギンの好みは、一羽ごとに違いがあり、同じ魚を与えても、すぐに食べるペンギンもいれば、何度も口に入れてから食べるかどうかを決める慎重派もいるようです。
また、見向きもしなかった魚でも、何回も与え続けることで少しずつ食べてくれるケースもあるといいます。
もしかすると好き嫌いがあるのではなく、食べ慣れた魚しかエサとして認識していないのかもしれません。
ペンギンは魚を味わっているのか
ペンギンにも、人間と同じように味の好みがあるとも考えられます。筆者もサバの苦みに少しだけ苦手意識があります。
しかし、中国武漢大学の研究者、趙華斌氏と中国深圳BGIの李建文氏の研究によると、ペンギンは「味覚」の機能がほかの動物に比べて少ないといい、「甘味」「苦味」「旨味(肉や魚に含まれる風味)」を感じるための受容体が無いとされています。(For penguins, it’s a matter of no taste Birds lack the genes to taste the fish they gulp)。
つまり、ペンギンは魚を味わって食べていないと考えられます。魚を丸呑みするペンギンには、サバの苦味なんて気にならないのかもしれません。
ペンギンが食べる「魚」に注目してみよう
どうやらペンギンには好き嫌いがあるのですが、その原因が「味」とは限らないようです。
「いつも食べている魚」「食べやすい魚」など、ペンギンたちにもこだわりがあるのかもしれません。ふと、エサの魚に目を向けてみると、大きさ・骨の多さ・ウロコの有無・栄養素など、さまざまな違いがあります。
もし、エサやりを見学する機会があれば、ぜひ「エサの魚」とペンギンの反応に注目してみてください!
(サカナトライター:taku)