長良川のアユと河口堰:川と人の関係を結びなおす│蔵治光一郎(著)
川で生まれたアユの仔魚は、お腹の卵黄がなくなる前に、餌が豊富な海へ流下しなければ生き残れません。しかしそこに立ちはだかるは河口堰(かこうせき)。
河口堰ってなんだろう……と読み始めた読者を長良川流域の世界へいざなうのは、小瀬鵜飼をはじめとした川漁師たちの語り。
いかに川の恵みが人々の暮らしや文化に寄与しているのか、そして河口堰建設後、海と川のつながりが断絶されたことにより連綿と受け継がれた自然がいかに急速に失われつつあるかが伝わってきます。
次章以降をひも解くとアユの生態やその放流事業、河川環境の変化、さらに河口堰とその運用や未来への考察など専門的な論考が並びますが、どれも不思議と自分事のように読み進めることができます。
それは冒頭の川漁師たちの語りが切実で真に迫るものだからなのでしょう。河川環境を未来にどう受け継ぐか、私たちへ問う一冊です。
外来魚のレシピ 捕って、さばいて、食ってみた│平坂寛(著)
デイリーポータルZというメディアでライターとして活躍する平坂寛さんによる、さまざまな外来魚を捕獲して調理、食するまでを紹介していく本。「生物を深く知るには五感を最大限に使うべし」という著者の信念が具現化したような一冊です。
本書の中で「嫌われ者たち」と称されるのは、いわゆる「外来魚」。しかしそんな外来魚も、元の国に帰れば有用な食料源であり、きちんと調理すれば美味しく食べられます。
“迷惑”とされるサカナたちに「食」という視点からフォーカスを当てると、見える世界も少し変わります。
野食読本DELUXE 人間本来の仕事「食料採集」を学ぶ│Fielder編集部(編)
魚に限らず、自然でとれる植物やキノコ、爬虫類、果ては狩りまで解説する本書。「人間本来の仕事」というタイトルに惹かれます。
「食料調達」がメインのテーマであることから、取り上げられている魚は身近なものが多いです。
ドジョウやオイカワ、カワムツといった小物から、ブルーギル、ブラックバスといった外来魚まで、味や調理法まで網羅。釣り方から載っているので明日からサバイバルが始まっても安心……!
この本一冊を参考に、野食で過ごしてみるのもアリかも?
ウナギNOW:絶滅の危機!!伝統食は守れるのか?│静岡新聞社、南日本新聞社、宮崎日日新聞(編)
ウナギ養殖事業が盛んな3県の地方紙が合同でウナギを巡る諸問題の「今」を報道する企画「ウナギNOW」を書籍に編纂した本書。地方紙ならではの人脈や知識を生かし、ウナギ養殖事業から海外ルポ、河川環境など、ウナギにまつわる事柄をさまざまなアプローチから伝える一冊です。
私たち日本人が親しんできたウナギの危機は、今や誰もが知っています。しかし、地方の取り組みや環境の整備など、まだまだ知らないことも多いはず。
この本を通して、ウナギのことを現実的に捉え直してみませんか。
伝え継ぐ日本の家庭料理 魚のおかず 地魚・貝・川魚など│日本調理学会(編)
和食・魚食好きさん必見。日本各地で食されている魚料理を集めた一冊です。
どのような地域のどのような料理なのか、料理の丁寧な説明はもちろん、何より一緒に載っている料理の写真がとっても美味しそう……!
レシピも載っているので、自分で作ってみることもできます。簡単に作れる料理も書かれているので、気負いせずに楽しめますよ!
サカナ本はSAKANA BOOKSで!
サカナト編集部とSAKANA BOOKSスタッフによるおすすめの本、いかがでしたか?
本を読んだ後はぜひ、生活にサカナを取り入れてみましょう。
なお、本記事で紹介した本は、東京・新宿区にあるサカナに特化した本屋『SAKANA BOOKS』の店頭で取り扱いがあります。
(サカナト編集部)
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