透明な体に赤い目がよく映える「アカメハゼ」は、暖かい海に住むハゼの一種。その可愛らしい見た目から、観賞魚としての人気も高い魚です。
赤い目が特徴的な魚ですが、生態にも面白い点があるのです。
赤い目をもつ<アカメハゼ>
アカメハゼはその名の通り、赤い目が印象的なハゼの一種。日本では屋久島や琉球列島周辺の暖かい海に分布しており、水深20メートル以浅のサンゴ礁域に生息しています。
アカメハゼの体長はおよそ2センチ前後。ハゼの中でも小型であることで知られており、初めてアカメハゼを目にした人は「ハゼの赤ちゃんがいる!」と誤解することも多いのだそう。
小さな体で元気よく泳ぎ回る様子も、いかにも稚魚っぽく見えるかもしれません。しかし、実際は成魚でもこのサイズが最大であることを知っておきましょう。
サンゴ礁に産卵床をつくるアカメハゼ
続いて、アカメハゼの産卵事情についてみていきましょう。
アカメハゼは、サンゴの枝の裏側や隙間を産卵床として利用します。このとき、産卵床として利用するサンゴの一部は白っぽく変色することで知られています。
これは、アカメハゼがサンゴのポリプをかじり取って殺してしまうためなのだとか。
白くなったサンゴの周辺にアカメハゼがいる場合、よく目を凝らすと、透明な卵が肉眼でも確認できることがあります。
なお、卵を観察する際は、繁殖期のアカメハゼに余計なストレスやショックを与えないよう慎重に行いましょう。
観賞魚としてのアカメハゼ
複数匹で群れる習性を持つアカメハゼは、自然環境だけでなく人工の水槽内でも数十~数百匹の集団で行動することが多いです。
赤い目と透明な体を持つアカメハゼが複数匹で群れて遊泳する姿はとても美しく、観賞魚としても注目を集めています。
アカメハゼを観察する際は、一匹ではなく複数匹の集団行動に注目するのがよいでしょう。
サンゴ礁周辺に生息するアカメハゼは、驚いたり警戒心が高まったりすると、群れ全体でサンゴの枝間や枝先に身を隠す行動をみせます。
淡い体色と赤い目を持つアカメハゼたちがいっせいにサンゴの上に乗る様子はまさに圧巻。もしアクアショップやペットショップなどで見かけたら、ぜひ注目してみてくださいね。
(サカナトライター:糸野旬)