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クジラは2つのグループに分類 <ハクジラ類>と<ヒゲクジラ類>の違いは捕食方法?

「クジラ」というと、実物を見る機会はホエールウォッチングなどの機会に限られ、どれだけの種類がいるのか、また種類によってはどんな姿をしているのかもなかなか想像がつきにくいのではないでしょうか。

現在、世界に84種がいるとされるクジラ類ですが、大きく分けるとハクジラとヒゲクジラのふたつのグループに大別できます。

それでは、ハクジラ類とヒゲクジラ類とはどのような違いがあるのでしょうか。

クジラ類の進化

ハクジラ類とヒゲクジラ類の違いを紐解くには、まずクジラ類とはどういった進化を遂げてきた生き物なのかに触れていきましょう。

クジラは始新世(5600~3390万年前)頃、インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突する前に現在のヒマラヤ山脈付近に位置して広がっていた、浅く広い海「テチス海」を中心とした生活に適応したパキケトゥスと呼ばれる肉食性哺乳類から進化していったと考えられています。

8000メートル級のヒマラヤ山脈もかつてはテチス海という海だった(提供:PhotoAC)

現在のカバと共通の祖先を持っていたようで、初期のクジラ類とは淡水生、ほとんど毛がない、水中で育児をするなどという共通点があります。

クジラ類の大きな分類

クジラ類は鯨偶蹄目に内包される哺乳類に分類されます。

現生種は大きくヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目の2亜目に分けられます。

ヒゲクジラ類の特徴

ザトウクジラの豪快なジャンプ(提供:PhotoAC)

ヒゲクジラ類には歯がありません。

代わりに上顎から生えたヒゲ状の「ヒゲ板」や「クジラヒゲ」と呼ばれる器官を用い、濾過摂食(ろかせっしょく)とよばれる、小魚やプランクトンのような小型生物をこし取って捕食。一度に大量の海水を含みプランクトンをこしとるため、とても大きな口を持っています。

また、コククジラは底生生物を捕食することで知られています。海底の泥や砂を口に含み、底生生物をこしとって捕食します。

そのほか、特徴のひとつして、噴気孔がふたつあります。この噴気孔は、哺乳類でいう鼻孔と同じ役割をもちます。

ヒゲクジラ類は捕食するエサの都合と繁殖のため、高緯度海域を摂食域、低緯度海域を繁殖域として大きく回遊を行うことが知られています。

ヒゲクジラ類でよく知られるクジラは、セミクジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラといった大きな体をもつクジラが挙げられます。

ハクジラ類の特徴

海のギャングともいわれるシャチ(提供:PhotoAC)

一方のハクジラ類は顎に歯が生えており、魚類などを追いかけて捕食するハンター的なタイプのクジラ類になります。

ハクジラはその狩猟能力を生かし、魚類や深海性のイカ類を捕食しています。アザラシ、アシカといった海産哺乳類を食べることもあるようです。

一般的にハクジラは噴気孔がひとつです。また、マッコウクジラやアカボウクジラ、シャチなどを除き比較的小型の種が多いです。狩猟の習慣があることから、より運動性を獲得するように進化していったのでしょうか。

クジラは音波で仲間とコミュニケーションをする生き物という印象をもっている人もいるかもしれませんが、高周波エコロケーションを行うのはハクジラ類のみ。狩りをする際、特に有用なのかもしれませんね。

また、ハクジラ類は一部の種を除いて嗅覚が退化しているそうで、逆にヒゲクジラ類はわずかながら嗅覚を残しているとされます。

クジラ類2種の違い

このように、捕食形態によってクジラ類はおもに2種に分けられます。

水族館ではイルカやシャチなど小型種しか会えないですが、野生のクジラが観察できる地域ではホエールウォッチングなどのツアーが開催されていることもあります。

観察する機会があれば、ぜひ両者の違いに目を向けてみてくださいね。

(サカナトライター:鈴川悠々)

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