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駿河湾の<サクラエビ漁> 資源を守るために行われている対策とは?

サクラエビといえば、駿河湾を代表するエビの一つです。通年、買うことができるサクラエビですが、実は様々な資源管理が行われている水産物です。

「サクラエビ=駿河湾」のイメージが強いですが、駿河湾産以外のサクラエビも流通していることをご存じでしょうか?

サクラエビとは

サクラエビは十脚目・サクラエビ科に属する甲殻類です。サクラエビ科は日本に複数種が生息していますが、食用になるのはアキアミ、サクラエビくらいでしょう。

桜色の体は標準和名「サクラエビ」の由来になっており、非常に長いひげや160個程ある発光器も本種の特徴です。この美しい姿から海の宝石とも呼ばれています。産卵期は5月下旬から11月下旬で、7~8月が最盛期。産卵後のサクラエビは死んでしまいます。

また、夜間に浅瀬に出現することもサクラエビの特徴です。本種は通常、水深200~350メートルの深場に生息していますが、夜間に水深20~60メートル程まで上がってきます。これを日周鉛直移動と呼び、サクラエビの他に動物性プランクトン、ハダカイワシ科など多くの深海生物がこの移動を行うのです。日本のサクラエビ漁は、この行動を利用して夜間に行われます。

サクラエビ漁が許可されているのは静岡県のみ

サクラエビは相模湾、東京湾、駿河湾などに生息するものの、国内でサクラエビ漁が許可されているのは静岡県のみであり、他県では操業が認められていません。そのため、国内で流通する国産サクラエビのほとんどは駿河湾産です。サクラエビは静岡県のプライドフィッシュにも選定されており、まさに県を代表する水産物といえるでしょう。

ただし近年、相模湾の定置網でサクラエビが混獲されることがあり、少量ですが相模湾産サクラエビが流通することもあります。国外だと台湾産サクラエビが有名で、台南に位置する東港(どんがん)は台湾屈指の水揚げ量を誇るそうです。

静岡県では由比、蒲原、大井川地区の計120隻もの漁船がサクラエビ漁の許可証を持っています。水揚げは由比港と大井川港のみで行われており、特に由比町はサクラエビの町で知られている他、サクラエビ漁が始まった地ともいわれています。

天日干しされるサクラエビ(提供:PhotoAC)

サクラエビは新鮮なものは生食で食べられる他、「サクラエビのかき揚げ」は静岡県の郷土料理として知られています。静岡県で作られる干しサクラエビも有名で、富士山を背景にサクラエビを天日干しする様子は春と秋の風物詩です。

資源管理と自主規制

サクラエビ漁は「2艘船曳き漁法」と呼ばれる、2隻の船で網を曳く漁法でサクラエビを漁獲します。

かつて、1年中漁を行っていましたが現在は3月下旬~6月上旬の春漁と10月下旬~12月下旬の秋漁のみ。静岡県漁業規制規則により定められた6月11日~9月30日に加え、漁業者が自主的に1月~3月頃を禁漁期間としています。他にも保護区の設定や「プール制(水揚げ額の均等分配)」を導入した資源管理が行われているようです。

サクラエビは様々な資源管理が実施されているものの、2018年以降記録的な不漁が続き、漁業者は自主規制を選択。2018年は秋漁が行われず、以降、操業する船の数を制限するなどの自主規制が続きました。サクラエビ不漁の原因は水質汚染や黒潮の影響などが考えらえていますが、はっきりとした原因は不明だそうです。

そんなサクラエビですが、自主規制もあり資源が回復傾向にあるといいます。2023年の秋漁では2018年の自主規制以降最大の水揚げ量を記録し、市場を賑わせました。

今後も適切な資源管理の下、サクラエビ漁が続いていくことを祈るばかりです。

(サカナト編集部)

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