三重県鳥羽市に、海について楽しく学べる博物館があることを知っていますか?
鳥羽市立海の博物館には、海にまつわる貴重な展示品をはじめ、船の収蔵庫など見どころが多くあります。
実際に訪問してみたので、その様子をお届けします。
なお、本記事は2025年3月に訪問した内容を基に執筆しています。時期によって展示内容が異なる可能性があるため、ご注意ください。
あたたかな木造建築にほっこりする博物館
鳥羽市立海の博物館は、最寄りの鳥羽駅から車で20分ほど。鳥羽駅からバスで向かうこともできますが、筆者が訪れた際にはバスの時間と予定が合わなかったため、タクシーで向かいました。
道中には鳥羽水族館もあるので、時間がある人はセットで楽しむことができますね。
さて、まずは入り口から近い常設展示A棟へ。入ってすぐ、木で作られた美しい建築に見惚れてしまいました。
鳥羽市立海の博物館の設計には、建築関連の賞も多数受賞している建築家・内藤廣さんが携わっているそうです。

木の優しい風合いと、開放感がとても気持ちいい空間です。お天気にも恵まれ、差し込む陽の光も相まってほっこりとした気分になりました。
常設展示A棟は、海民の伝統や食文化・信仰のほか、海の汚染についての展示が中心です。
魚の模型展示に大興奮
まず目を奪われたのは、魚の模型展示です。

リアルな魚の模型とともに名前や漁法、食べ方などが書かれたプレートが添えられています。

魚だけでなく貝類やタコなど、さまざまな種類を見ることが可能。緻密な模型展示が好きなので、ついついじっくりと見てしまいます。

八百屋のおじさんも動き出しそうなくらいよくできていて、本物の売り場の活気が感じられるようです。
海民の伝統や信仰を学ぶ
次にやってきたのはA棟の2階。中央には迫力のある八大龍神様がいます。
貝殻で作られた龍神様は大迫力。間近でみるとその細かな造形に驚かされます。

まわりにはその場で購入できる絵馬がたくさん結ばれていました。
せっかくなので、絵馬に願い事を書いて結んでおきます。願い事は叶うでしょうか。

海での信仰についての解説のほか、祭事の様子や使われる祭壇が並んでいました。実物や模型もたくさん置いてあるので、楽しく理解を深めることができます。
元々海の信仰や風習に興味があったため、個人的には一番お気に入りの展示でした。
海の汚染について紹介するコーナーも
日本の海が抱える問題を紹介するコーナーもありました。

公害や海の汚染をはじめ、赤潮の影響などについて具体的な採取例なども交えながら紹介されており、日本の海をどうやって守っていくのか、私たちにできることを考えさせられます。
中庭から見る展示棟も美しい
常設展示B棟へ向かう途中に、少し中庭を散策してみます。

中庭から見える各展示棟の外観は黒を基調としており、洗練された美しいデザインに見惚れてしまいます。
大迫力!漁の風景を再現した船
次に訪れた常設展示B棟は、古くから使われていた漁具や水産業についての展示がメイン。館内の2階から見下ろしてみると、大きな船の模型がありました。
今にも漁の声が聞こえてきそうです。

1階に降りてみると、釣られているカツオが目の前に!

ただ置いてあるだけでなく、釣り上げている糸の動きから魚の模型に至るまで、細部にわたって作り込んであります。
海の博物館名物・ウナギのぬいぐるみ
ウナギ漁についての展示は、ぜひ見てほしいオススメポイント。
石を積み上げることでウナギの棲家を作ったあと、入りこんだウナギの周りを囲って捕獲する「ウナギ石倉漁」の模型があります。

積まれた石の間にいるウナギのぬいぐるみは、鳥羽市立海の博物館のオリジナル。30年近く販売している人気のグッズだそうです。
実は、今回の訪問における一番の目的は、このウナギぬいぐるみなのです。ネットで見かけてから、ずっと欲しかったぬいぐるみ。ウナギが入るかごがついたセットを購入しました。
海女さんの暮らしにせまる展示も
常設展示B棟1階の奥は、志摩の海女さんの暮らしや使う道具について学べます。

過酷な海の環境の中で、素潜りでアワビやサザエをとる海女さんたちの暮らしが想像できます。
女性の素潜り漁があるのは、済州島を中心とした韓国と日本だけ。貴重な漁の文化をこれからも守っていきたいですね。
様々な船が見られる 船の収蔵庫
最後にやってきたのは、船の収蔵庫。

50年前まで日本の漁船は全て木造でした。
昔ながらの製法で作られ、海で漁師たちを支えてきた100艘(そう)の船がここで眠っています。
飾られている船は古いですが、保存状態はとても綺麗で、船大工が丁寧に作り上げた技術の結晶であることを感じさせます。

並んでいる船の中には、可愛らしい装飾を施されたものもみられました。漁の目的や乗る人数によって姿形が違うので、見比べて違いを探すのも楽しいですね。
直近で船を見たあとは、ぜひ階段を上がって収蔵庫全体を見渡してみてください。見渡す限りの船の数々に圧倒されます。
船作りに欠かせない道具も見られる
収蔵庫には船大工が使う道具や、船にいれる「船霊さん」の展示もありました。

自然を相手にする漁師たちが少しでも安全に帰ってこれるよう、様々な工夫や祈りが込められていることを学びました。
ちょっとした謎解きコーナーもあったので、訪れた際はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
オリジナルグッズやカフェコーナーも魅力的!
最後にミュージアムショップへ。
数多くあるミュージアムショップ中でも、こちらのショップの満足度は非常に高かったです。
先ほど紹介したウナギのぬいぐるみの完成度はもちろん、作家さんのハンドメイドの作品から大漁旗を使ったグッズまで、非常に魅力的なグッズばかり。
海グッズが好きな方は、お気に入りのものが見つかるはず! オンラインショップもあるので、気になったかたはぜひのぞいてみてください。

時間の都合で訪問できませんでしたが、併設する「カフェあらみ」では鳥羽志摩の素材を使ったメニューを楽しめるようです。次回の訪問の際には、リベンジしたいと思います。
鳥羽市立海の博物館では、そのほか様々な特別展示を行なっていたり、体験イベントを実施したりと、子どもから大人まで楽しめる施設です。同館で海の新たな魅力を発見してみませんか。
(サカナトライター:秋津)