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外来種との共存と私たちにできること

現在、日本の淡水域ではアカミミガメの繁殖が進み、クサガメの生息数は減少傾向にあるといわれています。

アカミミガメは成長が早く、繁殖力が強いカメです。在来種の住処を奪ってしまうだけでなく、他のカメの卵を食べる習性もあるため、大きな影響が懸念されています。

一方、クサガメに関しても、18世紀以降の移入のほか、近年の中国産個体の遺棄が指摘されており、在来の生きものとの交雑や競合、捕食が想定されます。

環境省はアカミミガメを「条件付特定外来生物」に指定し、2023年から販売や野外放流が規制されるようになりました。

この日釣ったザリガニも立派な外来種です(提供:halハルカ)

私たちができるのは、自然の中で出会った生き物をむやみに持ち帰らず、あるがままの環境で観察することです。

野生生物に出会えた時の喜びは、子どもにも大人にも大切な体験になります。

しかし、どれほど可愛くても、野生の生き物はそのままそっとしておくのが鉄則。保護などの理由でも、一度その生き物を生息場所から移動した場合は、最期までしっかりと責任を持って飼い続けてください。

少しの間でも人の手で飼育された個体は、たとえ元の場所であっても野外へ戻してはいけません。

観察したあとは、そっと自然に返してあげる──。

それが、次の世代にも豊かな自然を残すために私たちができる心がけですね。

(サカナトライター:halハルカ)

※クサガメの説明について、記事公開時の内容に修正を加えました(サカナト編集部)。

参考文献

クサガメー京都府レッドデータブック

西堀智子(2021)、大正川での捕獲調査で分かったクサガメの現状、亀楽、p29

ミシシッピアカミミガメー国立環境研究所 侵入生物データベース

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halハルカ

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生き物!釣り!水辺!

幼少期から水辺の生き物が大好きな元美大生。釣り好き(オカッパリ専門)で、若い頃は夜通し釣りを楽しんでいたことも。現在はこども達と共に生き物探索をするのが楽しみ。 好きな生き物はカエルとフグ。

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