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サカナの本屋を水族館に? ガラスを水生生物で埋め尽くす企画を実施してみた

東京都新宿区にあるサカナに特化した本屋・SAKANA BOOKS(サカナブックス)。建物はガラス張りで、通り沿いは大きなガラス面になっています。

同店では今年5月のゴールデンウイークより、このガラス面に<0~8000メートルの水深>を設定し、来店者が好きな水生生物を自由に描けるという企画を実施しました。

一体、どのような水生生物たちが描かれるのでしょうか。水深の設定から約3か月、ガラス面の遷移を見守ってみました。

ガラス面をまるまる海に設定

SAKANA BOOKSの出入口には、かつて東京湾のアオギス釣りに用いられた脚立とビクが展示されており、外側は大きなガラス張りになっています。

キャンバスにしたガラス面(撮影:SAKANABOOKS)

今回、このガラス面にスタッフがあらかじめ水深を設定した上で、お客さんが自由に水生生物を描き足せるように白色のペンを設置。ガラス面にどのような生物が出現するのか、3か月ほど観察する企画を実施しました。

題して、<SAKANA BOOKS水族館>です。

使用したペン(撮影:SAKANA BOOKS)

キャンバスとなるガラス面は外側4面のうち入口に近い方の3面、入口の扉横2面の合計5か所。

大きなガラス面の一方は左から、自由スぺース、表層~水深200メートルの浅海ゾーン、200~8000メートルの深海ゾーンとなっており、扉横の2面はどちらとも自由スぺースとなっています。いずれも海の中をイメージし、垂直の範囲は足元から成人が手を伸ばして届くくらいの高さで設定しました。

出現した生物は種名が書かれているものに関してはそれに従い、種名が書かれていない生物は可能な範囲で種名を特定。どの分類群がどのくらい出現したのか、また、どんな生物が出現したのか簡単な集計をおこないました。

1匹目は大衆魚・マアジ

スタッフが描いたマアジ(撮影:SKANA BOOKS)

<SAKANA BOOKS水族館>1匹目の入居者はスタッフが表層付近に描いたマアジです。大衆魚として知られるマアジは知らない人はいないほどメジャーな魚。最初の1匹に相応しいかもしれませんね。

ということで、まずは魚類が1種! さて、このアマジに続きどのような生物たちが追加されていくのでしょうか。

お客さんが最初に描いたのは予想外の生物?

マアジを描いてから2日後、さっそくSKANA BOOKS水族館に新たな生物がやってきました。

それは……なんとカニです! お客さんに描いていただいた記念すべき最初の生物はニコニコしたカニ。

ニコニコしたカニ(撮影:SAKANABOOKS)

繁殖期のチゴガニのように大きく鋏を振り上げています。しかも、このカニは見る角度によっては背景のビルをはじめとする様々な建物の上に立たせることもできます。

ちなみにカニはふんどしの形が三角形か円形かでオスとメスを区別することができ、この個体はふんどしの形状が三角形なのでオスなんだそう。

当初、魚が多く追加されると予想していたので、まさかのカニにびっくり驚きました。

無脊椎動物が大人気!

この後も無脊椎動物がぞくぞくと追加されていき、特にフジツボなんかは潮間帯付近に追加されていたり、ケヤリムシが壁から生えていたりと、これらの無脊椎動物たちは実際の生息環境をイメージして描かれていました。

多種多様な無脊椎動物たち(撮影:SAKANA BOOKS)

これらの無脊椎動物以外にも浅海域にはウミウシの仲間クラゲ、2個体目のオスのカニ、深海にはかっこいいエビやダイオウグソクムシなどが出現しています。

メンダコ大量出現!

無脊椎動物の中でもまとまった数が出現した生物がいます。

それがメンダコです。

メンダコ(撮影:SAKANA BOOKS)

深海のアイドルともいえるこの頭足類は描きやすいということもあってか、序盤から終盤にかけて複数の個体が追加されています。

しかし、一口にメンダコといっても描き手によって表現や絵柄が異なり、眼が丸いものや鋭いもの、耳が大きなもの小さなもの、実に個性豊かなメンダコを数多く楽しむことができました。

メンダコとオウムガイ(撮影:SAKANA BOOKS)

さらに同じ頭足類では、深海ゾーンにて生きた化石とも呼ばれるオウムガイ君も発見。特徴的な頭巾と貝殻の緻密な模様まで再現されていて素晴らしいイラストですね。小さいながらすごい存在感を放っています。

深海性の硬骨魚類も多数登場!

メンダコ、オウムガイ、ダイオウグソクムシなど深海性の無脊椎動物が数多く出現する一方、深海性の硬骨魚類も数多く見られました。

有名どころとしては深海魚の代表とも言えるチョウチンアンコウ、高級魚として知られるキンメダイが出現。

チョウチンアンコウとキンメダイ(撮影:SAKANA BOOKS)

特にチョウチンアンコウ類は、チョウチンアンコウをはじめ、ペリカンアンコウ、発達した下顎のひげが特徴的な Bearded Seadevil など複数種が現れ、深海ゾーンをよりディープな雰囲気にしてくれました。

リュウグウノツカイも人気! 有人探査機&超深海生物も

チョウチンアンコウに並ぶ人気深海魚「リュウグウノツカイ」も、幼魚と成魚を合わせた3個体がやってきました。

リュウグウノツカイほか(撮影:SAKANA BOOKS)

よく見ると同じ種でも外側のガラス面に合わられたリュウグウノツカイはどちらも成魚っぽい一方で、入り口側のガラス面には未成魚と思われるリュウグウノツカイとなっており、大きさによる形態の違いを楽しむことができました。

また、マイナーどころではソコダラ科のホケケダラ属と思われる魚が水深ゾーンに出現したほか、水深8000メートル付近では有人探査機とそれに照らされる超深海生物も登場し、深海ゾーンもかなり賑やかな環境となっています。

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サカナト編集部

サカナト編集部

サカナに特化したメディア

サカナに特化したメディア『サカナト』。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

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