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夏にチュウダイサギを狙う

チュウダイサギ、もしくはチュウサギを追い求め、暑い暑い炎天下の田んぼを探索しました。

すると遠くに見覚えのある白い影が見えました。いや、正確には見覚えはありません。夏季にいるシラサギがダイサギなのかチュウダイサギなのかチュウサギなのか、それが分かったのはつい最近のことですから。

とにかく、そこに“夏季シラサギ”はいました。種同定は後で行うとして、とにかく撮影です。

夏季シラサギ。一体何サギなのか……(提供:みのり)

しかし、撮影しようとするとすぐに逃げてしまいます。特別近づきすぎたわけではありませんが、かなり目がいいのか、相当離れた位置からもすぐに逃げられました。冬季に撮影したダイサギはここまで神経質ではありませんでした。

遠距離過ぎて、筆者のカメラレンズでは満足に撮影ができませんが、下手に彼らを刺激したりストレスをかけるわけにもいきません。ピントは甘々ですが、遠距離から撮影しました。

すぐに逃げてしまう(提供:みのり)

ピントは甘いですが、チュウサギよりも口角が後ろに長いことが確認できました。また、偶然同じ場所にいたアオサギと大きさが同じか少し小さいため、サイズ的にもおそらく「チュウダイサギ」と思われます。

チュウダイサギと思ったら……クチバシの色が違う?

よし、ようやくチュウダイサギを見れたぞ!と思った矢先、またまた違和感に気が付きます。クチバシが黄色いのです。

いずれのシラサギもクチバシが黄色になるのは冬季のはず。もしかして、また亜種レベルで違うのか……?

繁殖期で変わるクチバシの色

さらに図鑑やネットで調べていくと、正確にはクチバシの色は季節ではなく、繁殖期か否かで変わるそうです。クチバシが黒いときは繁殖期、黄色いときは非繁殖期となるようで、つまり今回撮影したのは「非繁殖期のチュウダイサギ」でした。

しかし、それでも違和感があります。図鑑にはチュウダイサギの繁殖期は夏であり、日本で行うと書いてあるのです。

でも、このチュウダイサギは夏に日本で撮影したにもかかわらずクチバシが黄色です。なぜなのか?

日本でも場所によってクチバシの色が違う

さらに調べてみて、ようやくわかりました。

チュウダイサギが繁殖するのは本州以南、より多く繁殖が見られるのは西日本や九州だそうです。筆者が撮影した関東では、繁殖しない個体もいるということです。つまり、同じチュウダイサギでも地域によってクチバシの色が異なるのです。

結論として、今回筆者が撮影したシラサギは、「身体が大きい(チュウサギより大きいがアオサギと同じか少し小さい)」「口角が眼より後ろにのびている」「夏季ではあるが、関東圏で撮影したため非繁殖期のクチバシが黄色い」という要素から「チュウダイサギ」ということになります。

いや、難しすぎませんか……。

またこれは憶測ですが、よく見るとチュウダイサギのクチバシの先端が黒くなっています。もしかしたら、これから黒いクチバシに変わっていき、繁殖期を迎えるのかもしれません。

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みのり

みのり

センス・オブ・ワンダーを大切に

水族館に関するお話やフィールドワーク体験の記事を中心に、自然環境の素晴らしさやそれらを取り巻く文化的なお話もお伝えしていきます。

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