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生きた化石「ガー」はとにかく細長い魚 昔は九州にも生息した?

細長い体と、それに伴うように長く発達した両顎が特徴の淡水魚であるガー。日本でも時々目撃情報が話題になるガーとはどのような魚なのでしょうか? この記事では、ガーについて紹介します。

細長い吻が特徴的な古代魚

ガーとは、ガー目ガー科に属する魚の総称です。ガー目はガー科1科のみで構成されており、2属7種で構成されています。ガー科の特徴はその細長い体と、同じく細長く発達した両顎です。この細長い顎には、鋭い歯が並んでいます。

アリゲーターガー(提供:PhotoAC)

また、ガイノン鱗を有しています。この鱗は硬く、普通の魚の鱗のように簡単に剥がれ落ちることはありません。この鱗は原始的な硬骨魚類の特徴のひとつで、同じく古代から生きている魚、チョウザメもこの鱗を有しています。

また、浮き袋には血管網が発達しており、肺のように空気呼吸を行うことができます。えら呼吸の機能は普通の魚に比べて劣っていて、それだけで生活することはできません。

現生のガー目の魚類は北アメリカ東部、中央アメリカ、キューバに分布しています。北限はカナダのケベック州南部に生息するロングノーズガー、南限はコスタリカに生息するトロピカルガーです。

トロピカルガー(提供:PhotoAC)

基本的にすべての種が淡水魚ですが、一部の種は海域に進出するそう。普通は、水草の生い茂る浅場や、三日月湖、湿地帯など、流れが緩やかな場所に生息していることが多いです。肉食性が強く、仔魚のときにはアカムシをはじめとする動物プランクトン、ある程度成長すると水に落ちた昆虫や水生昆虫を食べ、成魚になると他の魚類や甲殻類を食します。

ガーは昔から姿が変わらない「生きた化石」?

魚類のうち、現生する目の中では、生きた化石として知られるシーラカンス目、ギンザメ目に次いで出現しました。現代でガー目と呼ばれるLepisosteiformes(レピソステウス目)と近縁にあたるSemionotiformes(セミオノタス目)は、恐竜が繫栄していたとされる古生代ペルム紀後期の地層から最古の化石が見つかっています。

現生のガー目ガー科に属する種は、白亜紀前期の約1億1000万年前に初めて現れたといわれています。これ以降の形態の変化は少なく、冒頭のシーラカンスなどと同じく生きた化石と言われています。日本には現生のガー科魚類はいませんが、北九州の白亜紀の地層から化石が発見されています。

現代は主に観賞魚として人気ですが、日本では2018年2月より特定外来生物に指定されました。これにより、飼育や運搬、譲渡、野外へ逃がすことなどが原則禁止になりました。現在ガー科の魚を鑑賞するには水族館に行くほかありませんね。捕獲は制限されていないので、誰かが放ったガー科の魚を釣り上げてしまうことに問題はありませんが、それを別の場所へ運ぶことは罰則の対象になります。

ガーの代表的な種類3選を紹介!

ガーは大きく分けて、大型になるアトラクトステウス属と、レピソステウス属の2種類に分類することができます。この項目では、代表的なガーの仲間3種類を紹介します。

アリゲーターガー

ガー目に属する魚としては最大の種です。成長が早く、通常は2メートル程度、大きいものでおよそ3メートルにもなる大きな魚です。この大きさは世界でも最大級で、南アメリカに分布するピラルクと並びます。名前に「アリゲーター」とついている通り、その顔つきはまるでワニのよう。その大きさや珍しさから「怪魚」ともいわれ、マニアたちのターゲットにもなっています。

アリゲーターガー(提供:PhotoAC)

日本の河川に放たれてしまったものの釣果も報告されており、なにかとニュースで見る機会の多い魚でもあります。名古屋城の外堀で捕獲されたものは特に話題になったので、覚えている方も多いのではないでしょうか(名古屋市、アリゲーターガー1匹やっと捕獲 城の外堀-朝日新聞デジタル)。

スポッテッドガー

同種はレピソステウス属に属するガーで、観賞魚として最も一般的な魚です。水族館で鑑賞する機会も多いのではないでしょうか。キリンの体の網目模様のような斑点が特徴的で、「スポッテッド」という名前の由来にもなっています。アリゲーターガーよりは小型ですが、およそ90センチ、飼育下でも60から70センチほどと存在感のある大きさ。歯も鋭く、アリゲーターガ-より小型とは言え、取り扱いには注意が必要です。

スポッテッドガー(提供:PhotoAC)

ロングノーズガー

同種は先述のスポッテッドガーと同じくレピソステウス属に属しています。頭の大きさの約2倍と、ガーの仲間の中では最長の吻が特徴です。

ガーのなかで最も分布域が広く、かつ最も北まで分布します。レピソステウス属は成長が遅く、一般的に長生きすると言われています。ロングノーズガーのメスは性成熟するのに6年かかり、最長22年、オスは最長11年生きると言われています。ロングノーズガーは群れを成して、産卵のために水流の速い川を上流まで遡上します。1個体でおよそ27,000個の卵を産みます。

ロングノーズガー(提供:PhotoAC)

ガーは特定外来生物として飼育や運搬が禁止されていることから、日本で見ることのできる機会が少ない魚です。しかし、その特殊な口や細長い体や種ごとの個性は、知れば知るほど私たちを魅了する魚です。水族館で見ることのできる魚でもあるので、彼らのことを観察してその不思議な魅力に触れてみてください!

(サカナト編集部)

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