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今注目が集まる<未利用魚>が“未利用”の理由 代表的なサカナは?

近年、未利用魚の活用が注目されつつあります。水揚げされた魚は、どのような理由で未利用魚と判断されているのでしょうか?

未利用魚とされやすい代表的な魚や、その活用方法を紹介します。

そもそも未利用魚とは?

未利用魚とは、食用として扱える、美味しいけれど利用されていない魚のことを指します。使われてはいるけれども取引上の価値が低いことから低利用魚、目的の魚に混ざって獲られることから混獲魚という呼び方もあります。この記事ではこれらの呼び方も「未利用魚」に統一します。

未利用になってしまう理由

魚が未利用魚になる理由はさまざまです。私たちが普段食べている魚が未利用魚になる場合と、特定の魚が何らかの理由で未利用魚として扱われる場合があります。私たちが普段食べている魚が未利用魚になる場合、流通させることのできるサイズの規格を満たしていない、傷があり見た目が悪いといった理由があります。

一方、特定の魚種が未利用魚として扱われる場合には、漁獲方法が普及しておらず漁獲量が少ないために市場へ出回らない、調理方法が普及していないといった理由が挙げられます。

日本では魚を寿司や刺身で食べるため、鮮度を維持しつつ速やかに全国流通させることのできるコールドチェーンシステムを構築しています。市場では有名な魚は優先して買われますが、知名度の低い魚は値段が下がり、物流費が魚の値段を上回ってしまうことがあります。これでは損をしてしまうので、知名度の低い魚は未利用魚として扱われやすくなります。

これらの特性から、漁獲量が少ない魚は、水揚げされた場所で地元の人に向けて販売する地場流通に限定しているところもあります。このような魚は地魚と呼ばれ、観光資源にもなっています。

代表的な未利用魚は? 地魚として有名な魚も

全国の市場には出回らないけれど実は美味しい魚には、どのような種類がいるのでしょうか? 代表的な種類を紹介します。

アイゴ

アイゴ(提供:PhotoAC)

未利用魚の代表ともいえるアイゴは、毒針を持つため捌きづらいことでも知られています。

地域によっては市場に並んでおり、なかでもゴマアイゴは沖縄では非常に重要な食用魚です。刺身や煮つけ、から揚げに向いています。

ウツボ

ウツボ(提供:PhotoAC)

アイゴと並んで未利用魚の代表格として知られるウツボ。小骨が多くて捌きづらく、その見た目からも避けられがち。また漁獲量も少ないため、未利用魚として扱われることが多いです。

高知や和歌山では名物として扱われており、ウツボ料理を提供する飲食店がたくさんあります。

エイ

エイ(提供:PhotoAC)

エイは漁獲量が多いですが、その大きさや見た目から市場に出回ることは少ないです。北海道ではカスベと呼ばれ、よく食べられています。白身魚に似て淡白なので、いろいろな料理に向いているそうです。

サメ

ドチザメ(提供:PhotoAC)

サメは漁獲量が少なく、どう猛なイメージからも敬遠される魚です。広島ではワニと呼ばれ、刺身がよく食べられています。エイとサメはエイヒレ・フカヒレとして、また練り物の原料としても有名ですが、混獲される場合は少量で人気も少ないため市場にもまわせず、厄介者として扱われています。

持続可能な漁業を応援するために

近年、日本の漁獲量は減少を続けています。気候変動による漁場の移動や、乱獲による水産資源の減少が主な理由といわれています。そこで注目されているのが、未利用魚の活用です。未利用魚を市場に回すことで、水産資源を最大限に利用することができることに加え、今まで使い道がなかった魚から利益が生まれることで、漁業の活性化にもつながります。

地魚を宣伝して観光促進につなげたり、未利用魚を活用したサブスクリプションサービスやオンラインマルシェが続々と登場したりと、未利用魚の存在は以前より身近になりつつあります

さまざまな理由で市場に出回らない未利用魚。取り寄せて家で食べてみたり、地域に足を運んで地魚を食べたりすることで、持続可能な漁業を応援することにつながります。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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