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禁断の魚加工品が特産? 台湾南部で「東港三宝」と呼ばれるサカナとは

台湾南部に位置する屏東県東港は、小琉球の玄関口として有名ですが、海産物の水揚げ量が多く台湾屈指の港町でもあります。

東港では多種多様な海産物が水揚げ・加工されますが、中でも「東港三宝」は東港の名物とも呼べる食材たちです。

サクラエビ(櫻花蝦)

サクラエビといえば日本でも食べられている甲殻類ですが、台湾でもサクラエビを食べる文化があります。台湾北東部に位置する亀山島や南部の東港ではサクラエビが漁獲されており、特に東港のサクラエビは非常に有名。港のあちこちにサクラエビを擬人化したキャラである「絢櫻」が見られます。

「サクラエビって駿河湾にしかいないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、1977年頃、サクラエビに似たエビが台湾の底引き網で得られていることが知られていました。1988年に出版された「台東港水域で発見されたサクラエビ」では駿河湾で漁獲されているサクラエビと同種であることが判明したとされ、本種は駿河湾だけの特産品ではなくなりました。

駿河湾で行われているサクラエビ漁は夜間に日周鉛直移動をして浅瀬に来たサクラエビを捕獲しますが、台湾のサクラエビ漁は日中にサクラエビを漁獲します。夜間に水揚げされる駿河湾のサクラエビは日中に天日干しすることができますが、日中に水揚げされる台湾のサクラエビは天日干しできないため機械で乾燥されるようです。

東港周辺の飲食店ではサクラエビ使った炒飯が名物である他、台湾産のサクラエビは日本にも流通しています。特に駿河湾産サクラエビが不漁の時期は比較的安価である台湾産サクラエビの輸入量が増加しました。

クロマグロ(黑鮪)

台湾の夜市で売られるクロマグロ(提供:PhotoAC)

台湾は世界屈指のクロマグロの水揚げ量を誇る地でもあります。漁シーズンは4~6月であり、この時期に台湾の南端で漁獲されるクロマグロは非常に美味しいといいます。

かつて、台湾で漁獲されたクロマグロの多くは日本へ輸出されていましたが、台湾国内での需要が高まった結果、近年では輸出量が減少傾向にあるようです。さらに、東港ではマグロ祭りも開催されており、多くの人で賑わいます。

また台湾では魚を生で食べる文化が日本から伝わっています。刺身をそのまま「sa-si-mih(サシミ)」と呼び、東港では多種多様な魚が刺身で楽しむことができます。

バラムツ(油魚)

バラムツは体にワックスエステルを多く含むことから日本では販売が禁止されていますが、台湾では販売が禁止されていません。バラムツは刺身や味噌焼きで食べられており、卵巣を用いた「油魚子」「東港三宝」の一つとなっています。

「油魚子」はいわゆる「からすみ」のことであり、台湾ではバラムツの卵巣を使用したものの他にボラの卵巣でも「からすみ」が作られてます。日本で「からすみ」というと専らボラの卵巣を使ったものであり、「日本三大珍味」の一つとして知られています。

お隣台湾では日本と同じような魚が漁獲されているのでした。同じ種でも獲れる地域によって味が異なるので、台湾産の魚を食べて日本産と比較するのも面白いかもしれませんね。特にバラムツは日本では流通しないので台湾に行ったら食べてみたいものです。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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