小魚とアーモンドを組み合わせた「アーモンドフィッシュ」は、安くて手軽に栄養が摂れるおなじみのお菓子。この小魚には、主にカタクチイワシが使われています。実はこの魚、世界中さまざまな動物を支える“スーパーフード”とも言える存在です。
では、カタクチイワシとは一体どのような魚なのでしょうか。
食物連鎖を支えるカタクチイワシ
カタクチイワシは成魚でも体長10センチ前後と小さな魚です。
口の形が特徴的で、マイワシやウルメイワシなどに比べ下顎が小さく、口が片方しかないように見えることから、“カタクチ(片口)イワシ”と名付けられています。
体側の背面は暗青色で、腹面は銀白色をしており、大きな鱗で覆われているのが特徴。しかし、その鱗は薄く剥がれやすい性質を持っています。
また、秋から脂が乗り始めるため、冬が旬の魚として知られています。

カタクチイワシの産卵期は春から秋までと期間が長く、抱卵数は1万~5万粒と旺盛な繁殖力を持っています。
日本全域の沿岸に生息していますが、2019年時点では長崎県での漁獲量が日本一とされており、そのシェア率は約3割を占めています。また、海鳥や肉食魚、海洋哺乳類など様々な生物からも捕食されており、食物連鎖において非常に重要な魚といえるでしょう。
スーパーフードとして活用されるカタクチイワシ
カタクチイワシは“小さなスーパーフード”とも呼ばれ、栄養価が高いことで知られています。
特に、オメガ3脂肪酸が豊富なのが特徴で、それにより「生活習慣病の予防」「美肌効果」「脳の活性化」などの効果があるとされています。
さらには、骨も含めて丸ごと食べることができるため、通常のイワシよりも効率よくカルシウムを摂取することが可能です。

カタクチイワシは加工食品として利用されることが多い魚です。食品のパッケージなどで「カタクチイワシ」という名前を目にしたことがあるのではないでしょうか。稚魚から成魚まで幅広く活用されています。
例えば、しらすやちりめんじゃこはカタクチイワシの稚魚が使用されています。「ちりめん」とは、1~2センチのカタクチイワシの別の呼び方です。
稚魚だけでなく成魚も世界中で親しまれており、アンチョビやアーモンドフィッシュ、オイルサーディンなどに加工されます。人間の食品以外にも、他の魚の生き餌として利用されたり、肥料や飼料として活用されています。
カタクチイワシはアーモンドフィッシュだけではなく、身近にある様々な加工食品に使用される重要な魚。小さいながらもバランスよく栄養を摂取できることが魅力です。
骨ごと手軽に食べられますし、カルシウムを豊富に含んでいますから、全年代に勧められるカタクチイワシ。健康維持のためにも積極的に食べてみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:かい)