「干潟遊び」では、干潟について知り、体験を通して水生生物への理解を深める貴重な時間が過ごせます。
とはいえ、干潟遊びには思わぬ危険も。環境に配慮しながら、安全に干潟で遊ぶにはどうすれば良いのでしょうか?
そこで、干潟観察のイベントを数多く開催している新光産業きらら浜自然観察公園で、レンジャーの寺本明広さんにお話を伺いました。
泥の感触を楽しみながら直接と生き物と触れ合える
寺本さんは「まずは泥の感触を楽しんでみてほしい」といいます。
そう、干潟遊びの魅力は「干潟の生き物と直接触れ合えること」はもちろん、「泥の感触を楽しめること」にもあるのです。
確かに、足が泥にゆっくり入っていく感覚は、日頃なかなか味わえません。泥遊びに不慣れな子どもなら、これだけでも貴重な経験になるでしょう。

寺本さんは「同じ干潟でも、ポイントによって見られる生き物の種類や行動が違う」とも語ります。
新光産業きらら浜自然観察公園の干潟では、砂の多い場所にコメツキガニが、泥の多い場所にはヤマトオサガニがいます。
また、ヨシが生えている場所の周りではアシハラガニの観察が可能。同じ場所に留まるのではなく、干潟の中でも環境の違う場所を探して観察すると、様々な発見ができるでしょう。
干潟遊びの注意点は?
干潟遊びで特に注意したいのは「怪我をしやすい場所」「毒やハサミのある生き物」「泥にはまり込んだ時の対応」の3点です。
1. 岩場や貝殻が危険
まずは、怪我をしやすい場所に注意しましょう。
寺本さんによると「貝殻で手や足を切ってしまう怪我が多い」とのこと。新光産業きらら浜自然観察公園の干潟には牡蠣殻がひっついた岩場があり、そこで手や足を切ってしまい怪我をする子どもが多いそうです。
また、濡れた岩場は滑りやすく、転んで体を打ったり、尖った場所に手をついて怪我をすることも考えられます。

「水に濡れていると、ちょっとした切り傷でも血がたくさん流れた感じがしてショックを受けてしまう子どももいる」とも話していました。
2. クラゲやカニに注意
毒のある生き物にも注意しましょう。
特に、クラゲ類は干潟に打ち上げられて動かなくなっていることが多く、小さな子どもがうっかり触って刺されてしまうことがあります。また、ゴンズイをはじめとした毒のある魚にも注意が必要です。

「ガザミやイシガニなどのカニ類を不用意に持ち上げると挟まれることもあり、痛みも大きいです」とも話していました。
ほとんどのカニ類は近づくと逃げるので、何もしなければこちらに向かってくることはありません。しかし捕まえた際、不用意に素手で触ると挟まれてしまうことがあるので、注意しましょう。
切り傷や生きものたちによる危険を防ぐために、軍手を用意しておくと安全に遊べます。
生き物の注意点を紹介しましたが、注意点を守って観察することで干潟の生き物たちの生態の魅力についてたくさん気付くことができます。気をつけながら体の特徴や行動などじっくりと観察してみてください。
3. 泥にはまり込んだ時の対応
「泥にはまり込んでしまったら、焦らずゆっくり行動してほしい」と寺本さんは話します。
泥から出ようともがくほど、ますます抜けなくなってしまいます。また、体力がどんどん奪われてしまうことも。暑い時期に体力を消耗すると、熱中症のリスクも高まります。
泥の中を動き回る際には、「一歩ずつ確実に」を意識しましょう。泥にはまり込んでしまったら、ジタバタせずゆっくりと、靴が抜けてしまわないよう注意しながら足を引き抜くことも大切です。
年齢に合わせてサポートしながら干潟を楽しもう
干潟で遊ぶなら、子どもの年齢に合わせたサポートも重要です。
新光産業きらら浜自然観察公園で行われる干潟観察のイベントでは、年齢制限がなく1歳未満の子どもからでも参加できるといいます。ただし、1歳未満が参加する場合は、抱っこで参加するか、歩かせる場合は必ず大人が付き添い、子どもから目を話さないよう工夫が必要です。
ちなみに、過去の干潟体験イベントの参加者は、「幼稚園から小学校低学年ごろまでの子どもが多い」とのことでした。
「干潟での観察」に重きを置くなら、大人の指示を理解し困ったことを言葉で説明できる4歳以上がおすすめと言えそうですね。
1
2