海水魚の飼育は半年、1年と長い年月をかけて積み重ねる趣味なので、焦ってはいけません。何事も初めは重要で、計画を立てながら進めていくのが理想です。
中途半端に始めてしまうと挫折しやすくなるので、簡単なことから一歩ずつ進めていきましょう。
最初の導入をしっかり行えば、色々な海水魚を飼育することができるようになります。経験を積み重ねることで今後も長く付き合える趣味にすることができますよ。
1. 計画を立てる(2週間~1ヶ月)
なにを飼育したいか明確にしましょう。その種類をメインで飼育したいのか、サンゴや磯など環境を再現する飼育がしたいのか様々なテーマをざっくり考えます。
インターネットや情報誌、SNSでレイアウトテーマを調べたり、飼育生体について調べたりするのは、今後の飼育についてとても重要なことであり、とても楽しいことでもあります。
テーマが決まったら、次にメインの生き物や設備の費用を調べて、資金計画を立てます。

同時に、このタイミングで自宅での設置場所や家族の承諾などをクリアします。
ここはとても重要な工程で、なんとなくで始めてしまうと取り返しのつかない失敗や後悔をしてしまいます。家族との関係にもヒビが入りかねません。最初に大きな失敗をしてしまうと挫折につながってしまうので、注意しましょう。
生き物を水槽に入れるのは、まだまだ先になります。

テーマを決め、自宅で飼育できる環境を整え、資金計画を立てたら、設備の準備とそれに関する情報収集をしましょう。設備に関しては、飼育の雑誌やインターネットを参考にしながら必要な器具を用意します。
実際にアクアリウムショップやホームセンターで見たり聞いたりしながら器具を選ぶのは楽しく、とても勉強になります。

また同時に、飼育テーマや飼育したい生き物と設備の相性も調べておくとスムーズに始めることができます。

2. 水槽や器具の設置(1日~3日)
必要な道具を用意したら、次のステップとして水槽など周辺の器具の設置をします。
器具の説明書をよく読んで間違えないように設置。この段階では飼育水はまだ入れません。台を設置し、水槽にフィルターやヒーター、エアーポンプなどを取り付けていきます。
海水魚を飼う上では、どんな種類でも水槽の準備の仕方は違いありません。自分自身の好みになってくるので、続けていくうちにマイルールが確立してくると思います。
海水の準備
設置をしたら海水を準備します。
水道水に人工海水の素を規定量入れ、溶かします。塩分濃度計(比重計)で確認したあと水槽に入れていきましょう。
人工海水の素を入れたあと、塩素中和剤を規定量入れます。
3. 水槽の空回し(3日~1週間)

水槽の空回しは確認するところが多く、重要な手順です。
まず、水漏れがないか周辺を入念にチェックしましょう。水槽本体、台、床、壁などが不自然に濡れていないか触って確認します。
次に設備の異常がないかを目と耳を使って確認します。ポンプのモーターやヒーター、エアーポンプなどの異音やパワー不足、動作不良、ヒーターに関しては水温逸脱などをチェックしましょう。
また水温が時間帯によって何℃あり、最高温度と最低温度がどれくらいか確認します。
これは日当たりや冷暖房器具(ストーブ、扇風機、エアコン)の場所によっても変化するので、水槽だけでなくその部屋の作りも確認しておきます。
その他は塩分濃度(比重)を1日1回確認しましょう。特に冬は飼育水が蒸発しやすいので塩分濃度の変化が大きいことに注意してください。
4. 魚の導入(1週間~)
水槽の空回しが1週間ほどで終了したら、魚を導入します。現在の水槽が問題なく魚を飼育できるかの確認で、非常にドキドキするタイミングです。
水温や塩分濃度(余裕があるならアンモニア、亜硝酸、硝酸塩も)を確認したら導入する魚の準備をします。
ここで注意することはテストフィッシュ(パイロットフィッシュ)を用意することです。水質変化に強く、丈夫な魚を選択します。
アクアリウムショップで手に入る魚としてはスズメダイの仲間が一般的に推奨されています。しかし性格がきつい種が多く、後から入れた魚をいじめてしまうことが多いです。

筆者のおすすめはカクレクマノミ、ハタタテハゼ、コガネキュウセンあたりです。丈夫かつ比較的ポピュラーな種で、安価に手に入ります。餌付けも簡単です。また性格が穏和で後々メインの魚を導入する時スムーズです。
一方で、磯採集する人なら選択肢はとても多く、筆者はカゴカキダイ、ナベカ、チャガラ、ニシキベラ、ホンソメワケベラ、アカオビシマハゼ、ニザダイ、アミメハギなどをテストフィッシュとして過去に導入してきました。
共通点としては、水槽の名脇役になれる魚たちで餌付けもしやすいということです。また採集しやすいことも評価が高いです。
水合わせを行う
魚の導入の仕方ですが、アクアリウム用語で水合わせと呼ばれている作業です。このやり方はテストフィッシュだけでなく全ての魚に共通することです。
用意するものはバケツ、エアチューブ、エアストーン、エアポンプ、点滴用エアチューブ、蓋、プラケースです。季節によってはヒーターを準備します。
まず魚を元々の海水と一緒にバケツに入れ、エアーポンプを始動させぶくぶくさせます。水量はバケツの4分の1くらいでスタート。その後、水槽にチューブを入れ、先端をバケツの方に入れます。
チューブから水槽の飼育水を吸い、バケツに入るようにします。コックがあれば調整は簡単ですが、ない場合はチューブを絞って、1秒2~3滴になるように調整しましょう。
3時間ほどでバケツの4分の3くらいまで放置します。その際、時々バケツの様子を見るようにしましょう。魚が飛び跳ねてしまうことがあるので蓋をすると良いでしょう。
バケツの海水が4分の3ほどになったら温度合わせを行います。
温度を合わせる
プラケースでバケツの水と魚をすくい、水槽に浮かべます。15分くらいで温度が合うので水槽に魚のみ入れてあげます。
なるべく元々入っていた海水は水槽に入れないようにしましょう。
水槽に魚を入れた後は、しっかり観察して異常がないかを確認してください。もし既に水槽に魚がいる状態でメインの魚を追加導入する時、昼間だとその先に水槽にいる魚が新たに導入した魚を追いかけ回したりすることがあります。
夜になって、水槽にいる魚たちが寝ている間に導入してあげると朝になっても喧嘩が起きづらいです。

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