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巨大な海底の王者<マダラエイ> まだら模様が美しい優雅な大型エイの迫力と生態とは?

広い背中にまだら模様を散らし、ゆったりと海底を泳ぐ「マダラエイ」。同種は全長2メートルを超す大型種で、水中での圧倒的な存在感はまさに“海底の王者”といえるでしょう。

国内では南方でよく見られるほか水族館でもお馴染みの魚であり、ダイバーはもちろんのこと水族館ファンも魅了してきました。

エイの中でも人気の高いマダラエイですが、その魅力の正体は一体何でしょうか。

巨大な体と独特の模様「マダラエイ」

マダラエイ(学名:Taeniura meyeni)はトビエイ目アカエイ科に分類されるエイで、インド太平洋の温暖な海域に幅広く分布しています。日本近海においては伊豆諸島や沖縄、小笠原などで見られる魚です。

アカエイ科の中でも大型種として知られ、体盤幅(胸びれを広げた幅)が2メートルを超える巨大な個体も確認されています。この巨体はダイバーからすれば圧倒される存在であり、優雅で力強い泳ぎは「海底の王者」とも呼ぶにふさわしい風格を漂わせています。

マダラエイ(提供:PhotoAC)

本種は夜行性で、日中は海底で砂をかぶり静かに休む姿が多く観察されますが、夜になると活動的になり甲殻類や貝類、小魚などを積極的に捕食。強靭な歯板を持ち、カニや貝の硬い殻をも砕いて丸ごと飲み込んでしまいます。

この迫力ある捕食行動も、マダラエイの魅力の一つと言えるでしょう。

マダラエイのカモフラージュ

マダラエイはその名の通り背面にある白や灰色のまだら模様が特徴です。

この特徴はマダラエイのチャームポイントであると同時に、砂地や岩礁に溶け込むカモフラージュの役割を果たしていると考えています。

実際に筆者は、島根県隠岐諸島の海士町から約2キロ、最深度40メートル超のポイントでダイビング中、全長1.5メートルほどのマダラエイに遭遇したことがありますが、周囲に溶け込むような模様しているため、気づいた時にはマダラエイが真下を泳いでいるといったことがありました。

この時は驚いて叫んでしまった記憶があります。

優雅な泳ぎと迫力の近距離体験

マダラエイとの遭遇は、ダイバーにとってまさに特別な体験といえます。

海中でその姿を目にした瞬間、まず圧倒されるのは体の大きさと存在感です。体盤幅が2メートルを超える個体もいるため、視界に現れると周囲の景色が一変し、まるで海底の王者に出会ったような迫力を感じます。

さらに、ゆったりとした動きで水を押し分けながら進む泳ぎは実に優雅で、観察者の心を奪います。

岩場から飛び立つエイ(提供:ほりぐちよしき)

特に、潮の流れがよく栄養豊富な海底や、沖の根と呼ばれる岩場ではマダラエイの遭遇率が高く、ダイバーが憧れるスポットのひとつです。海底にじっと身を沈めていた個体が、ふわりと砂を巻き上げながら舞い上がる瞬間は、巨大な鳥が大きな翼を広げて飛び立つかのよう。

光を受けてまだら模様が浮かび上がる姿は神秘的で、海という空間の奥深さを改めて実感させてくれます。

その迫力と優雅さを同時に体験できる観察は、他のどんな生物とも違う独特の感動を与えてくれるのです。

毒に注意

マダラエイを含むアカエイ科の中には、尾の先端に鋭い毒棘を持つ種が存在します。

この毒棘はギザギザしていることから一度刺さると抜けにくく、万が一刺されるとすぐに激しい痛みに襲われます。

症状は個人差がありますが、重い場合には呼吸困難やけいれん、発熱、下痢、発汗、嘔吐、皮膚の湿疹などが見られることもあるようです。

エイの毒針(提供:PhotoAC)

また、命にかかわるケースも報告されています。そのため、ダイビングや海水浴でエイ類に出会った際には尾の位置に十分注意し、決して触れないことが重要です。

マダラエイの優雅な姿に惹かれても、安全な距離を守って観察することが、自身の身を守る第一歩となります。

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ほりぐちよしき

ほりぐちよしき

観察から始めよう!

スキューバダイビングしたい!自然に囲まれて生きたい!! そんな想いで大阪→島根半島へ移住。 少しでも生き物の面白さをここから伝えたい。

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