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サクラアジを食べてみる

我が家にサクラアジがやってきて、いろいろ触ることができ、ご機嫌の筆者にとって今回の最後のお楽しみが「」。

アジ科魚類は刺身、塩焼き、唐揚げ、南蛮漬けなどさまざまな方法で食用となりますが、筆者はアジ科、特にマアジ属やムロアジ属など体高が低めの魚については「たたき」がいちばん好きな食べ方です。

サクラアジのたたき(提供:椎名まさと)

サクラアジを3枚におろし、身の部分をたたいてネギをかけて、九州らしい甘めの醤油でいただくというものです。

これが非常に美味しいもので、醤油なしでも甘さというのが伝わってきます。

そしてもう1種……

今回筆者はサクラアジと出会うことができましたが、尾が赤いムロアジ属のもう1種、キツネアカアジとだけはいまだに出会えていません。

キツネアカアジもやはり南方にすむムロアジ属の魚で、日本国内においてもこれまで三重県などで見つかっており、アカアジと比較してやや長い頭部と、やや多い稜鱗(ぜんご)を有しています。

サクラアジと一緒にやってきたアカアジ(提供:椎名まさと)

今回入手したサクラアジと一緒の発泡スチロールの箱にはやはり旋網で漁獲された、尾鰭が赤いアジが多数入っており、頭部が若干長いように見えましたが、計測したところアカアジとなりました。

今回、念願のひとつであるサクラアジとはやっと会うことができましたが、キツネアカアジとはいまだ出会えず、尾の赤いアジを探す「旅」はまだまだ続きそうです。

(サカナトライター:椎名まさと)

参考文献

今回のサクラアジの入手についてはマルホウ水産(長崎魚市場)の石田拓治さんにお世話になりました。ありがとうございました。

岩坪洸樹・木村清志・本村浩之. 2016.東シナ海と鹿児島県枕崎市沖から得られた日本初記録のアジ科魚類 Decapterus smithvanizi サクラアジ(新称).Nature of Kagoshima 42: 179-182.

Kimura, S., Katahira, K. and Kuriiwa, K. 2013. The red-fin Decapterus group (Perciformes: Carangidae) with the description of a new species, Decapterus smithvanizi. Ichthyol Res (2013) 60:363?379.
小枝圭太、畑 晴陵、山田守彦、本村浩之(2020)、大隅市場魚類図鑑、鹿児島大学総合研究博物館

久新健一郎、尼岡邦夫、仲谷一宏、井田 斉、谷野保夫、千田哲資、(1982)、南シナ海の魚類.海洋水産資源開発センター、335pp

髙橋夢加、岡田誠、笹木大地、本村浩之、木村清志(2018)、熊野灘と東シナ海から得られた日本初記録のムロアジ属魚類Decapterus kurroides キツネアカアジ(新称)、魚類学雑誌 65(2):181-185.

宿女太志・岡田 誠・笹木大地・木村清志.2018.三重県初記録ならびに分布北限記録更新のアジ科魚類4種.Nature of Kagoshima 45:1-9.

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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