カタボシイワシを食べる
サッパ属のサッパは全長16センチ程度の魚ですが、カタボシイワシはそれよりも大型になり、全長25センチを超えるくらいの大きさのものも水揚げされています(Fishbaseによれば最大で全長41センチにもなるとされる)。
さらに体形も、サッパはやや体高が高く見えますが、カタボシイワシはスレンダーな見た目で、従来サッパとカタボシイワシは別の属と考えられていました(サッパ属とヤマトミズン属)。そうなると、サッパとは別の食べ方を考える必要がありそうです。
カタボシイワシの煮つけ(提供:椎名まさと)カタボシイワシの見た目は先述したサッパよりも、マイワシやウルメイワシ、ヤマトミズンの仲間に似ています。イワシや、ヤマトミズン、ホシヤマトミズンなどは刺身や焼き物、揚げ物、煮もので美味しく食べることができるため、今回のカタボシイワシも煮もので食べました。
その味は非常に美味しいもので、サッパよりも身の量が多かったのも印象的でした。
これほど美味しいのであれば一般消費者にも届きやすいかなとも思うのですが、カタボシイワシについてはほかのマイワシやウルメイワシとは異なり知名度が低いため、売りにくいかもしれません。
試食コーナーを設けたりするなどの地道な工夫が必要になるでしょう。
(サカナトライター:椎名まさと)
謝辞と参考文献
今回の魚類の入手においては、石田拓治さん(長崎魚市場 マルホウ水産)、漁庄丸さん(三重県南伊勢町)、小野さとこさん(大阪府)にお世話になりました。ありがとうございました。
榮川省造(1982)、新釈 魚名考、青銅企画出版
小枝圭太・畑 晴陵・山田守彦・本村浩之(2020)、大隅市場魚類図鑑.鹿児島大学総合研究博物館
松原喜代松(1955)、魚類の形態と検索、石崎書店
中坊徹次編. 2013.日本産魚類検索 全種の同定 第三版.東海大学出版会.秦野.
下瀬 環(2021)、沖縄さかな図鑑、沖縄タイムス社
山田梅芳・時村宗春・堀川博史・中坊徹次(2007)、東シナ海・黄海の魚類誌.東海大学出版会
Search Fishbase(Sweden Mirror)
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