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未利用の深海魚を活用「うんまか深海魚」とは? 鹿児島で広がる消費・流通

持続可能な海洋資源の活用が求められる中、未利用魚を活用する取り組みは日本各地で行われています。

鹿児島県ではタカエビ(ヒゲナガエビ)を対象とした「とんとこ漁」が行われており、この漁で捕れた未利用魚などを有効活用する取り組みが行われています。 

鹿児島県は深海魚の宝庫 

深海魚漁のイメージと言えば、やはり駿河湾でしょうか。

静岡県沼津市には「沼津港深海水族館」があり、沼津港には深海魚を使った飲食店がたくさんあります。メディアでも沼津を”深海魚の街”として紹介することがあります。

しかし、深海魚を漁獲しているのは駿河湾だけではありません。あまり知られていませんが、北は北海道の「キチジ刺し網」から南は沖縄県の「アカマチ釣り」まで、日本各地で深海魚を対象にした漁業が行われています。 

鹿児島湾(提供:PhotoAC)

昔ほどではないとされていますが、鹿児島県でも深海魚漁が盛んに行われています。

鹿児島湾ではタカエビなどを狙った伝統的な底引き網漁である「タカエビ漁(とんとこ漁※「とんとこ」は出船する際の船のエンジン音が由来)」が操業されています。底引き網は網を使った漁なので、大小様々な海産物が漁獲されることが特徴です。

鹿児島湾には多種多様な生物が生息しており、20035月から20071月にかけて行われた、底引き網調査では鹿児島湾から156種の魚、91種の甲殻類、22種の軟体類が採集されました(鹿児島湾における暖海性タラバエビ科の1Plesionika semilaevisの分布と個体群構造) 。

また、鹿児島には南に延びた離島群があり、そこでは高級魚であるハマダイを狙った深海釣り漁が行われています。 

底引き網では多種多様な魚が獲れる 

底引き網とは簡単に言えば、錘(おもり)が付いた袋状の網を深い海に沈めて、1隻または2隻の船で海底(砂泥底)を引きずる漁業です。

この漁業では海底の生物を漁獲することが可能であり、底魚のほか、カニやエビの甲殻類、貝類、イカやタコなどの軟体動物を漁獲しています。

ソコダラ科の1種(提供:PhotoAC)

底引き網は多種多様な生物が漁獲されるものの、利用されるのはタカエビ、アカザエビ、アカムツ(ノドグロ)、オオメハタ(シロムツ)などの商業的に価値があるものに限られており、小型のソコダラ科やキホウボウは漁獲されても海上で破棄されてしまいます。

このように破棄される深海生物の中にも、潜在的な価値を持つものがいるのではないかと考えたのが「かごしま深海魚研究会」です。

実際に潜在的な価値が近年になって認められた生物もいます。

現在、鹿児島湾でのみ漁業対象とされているシバエビ(ヒメアマエビ)は、鹿児島湾で多産する小型の甲殻類です(鹿児島湾の固有種ではないので注意)。本種はアマエビ同様、タラバエビ科に属し、昔から漁師さんたちの間では美味であることが知られていました。今でこそ、市場価値の高いエビですが、ツノが大きく頭部を取る処理が必要であることから、昔は二束三文で取引されていたといいます。

他地域にもこういった事例はあり、キンメダイやキチジも昔は安価な魚でしたが、現在では高級魚になっています。

このように潜在的な価値を持つ水産資源は、今現在でも多くあると考えられています。時代を経て価値が変わっていく水産物はこの先も多いのではないでしょうか。 

うんまか深海魚とは 

「うんまか深海魚」は「かごしま深海魚研究会」が、主に「とんとこ漁」で海上破棄される未利用魚などをブランド化したもので、ハマダイのマスコットキャラクターが目印です。この活動は、未利用魚を活用することで海の資源を持続可能に利用すること、漁業者の所得向上、それに伴う跡継ぎ問題の解消を目的としています。

実際に、スミクイウオやボウズコンニャクなどは活用が始まり、鹿児島ではすり身や唐揚げ、刺身等で食べられるようになりました。その美味しさが知られ、はじめは15店舗で始まった「うんまか深海魚」の取り扱いも、現在では増加し、のべ50店舗の小売店・飲食店で提供されています。

同研究会は深海魚の試食会や講演会などのイベントも活発に行っているので、機会があれば参加してみるのも良いかもしれません。

見た目に惑わされずに食べてみよう

深海魚には食味の良いものが多いにも関わらず、見た目や漁獲量がまとまらないことから利用されていない種も多いです。しかし、実際に食べてみると美味しいものばかりで驚きます。

一見、グロテスクな魚もいますが、見た目に惑わされず、食材として生かす意識を持つことが、限られた海の資源を持続的に活用することにつながるのかもしれません。

(サカナト編集部)

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