新潟県上越市にある上越市立水族博物館『うみがたり』は6月30日、新潟県立海洋高等学校出身の大の里関が史上最速で横綱に昇進したことを祝し、相撲に因んだ名前の深海魚「セキトリイワシ科」の展示を開始しました。
7月27日までの開催予定です。
深い海に生息するセキトリイワシ科の魚
2025年7月現在、日本産のセキトリイワシ科魚類は27種が知られており、多くが水深数百メートルから1000メートル以深に生息。中には、ウケグチイワシのように水深3000メートル以深から記録されている種もいます。

深海の中でも深い海に生息するセキトリイワシ科魚類は底曳網に入網することも稀であることから、目にする機会は極めて少ないグループの1つ。特に日本海側では、セキトリイワシ科魚類が確認されていません。
ハゲイワシとコンニャクイワシ
上越市立水族博物館『うみがたり』は、6月30日よりセキトリイワシ科のハゲイワシ Alepocephalus owstoni とコンニャクイワシ Alepocephalus umbriceps の2種類を展示。いずれもハゲイワシ属に分類される深海魚です。
ハゲイワシ属 Alepocephalus はギリシャ語で「無鱗の頭」を意味することから和名のもこの特徴に由来していると考えられています。またハゲイワシ種の種小名”owstoni”は標本商であるアラン・オーストンへの献名です。
食物連鎖の頂点「ヨコヅナイワシ」
企画展では冷凍セキトリイワシ科魚類2種の(ハゲイワシ、コンニャクイワシ)ほか、同じくセキトリイワシ科に属する「ヨコヅナイワシ」の実寸大パネル(106センチ)の展示も併せて行われています。
ヨコヅナイワシ Narcetes shonanmaruae は2021年に新種記載された大型のセキトリイワシ科で、これまでに深海延縄で少数標本が得られている非常に珍しい種です。
本種はこれまで報告されているセキトリイワシ科魚類の中で最も大きさな種であり、全長約2.5メートル、重さは30キロ以上になることがわかっています。
本種のように深海固有の魚で2メートルを超える種は多くなく、ヨコヅナイワシは深海の生態系における食物連鎖の頂点に君臨する魚です。
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