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<ケムシカジカ>を味噌汁にして食べてみた 姿が似ている<オコゼ>との違いとは?

ケムシカジカという魚を知っていますか。

見た目はあまりよくなく「グロテスク」なんていう人もいるようですが、実際はとても美味しい魚です。

今回は行きつけのスーパーの鮮魚店で、久しぶりにケムシカジカを発見したので、購入して食べてみました。

【画像】味が濃厚!ケムシカジカの味噌汁

ケムシカジカを購入!

筆者のいきつけの茨城県内にあるスーパーマーケットには魚屋さんのテナントが入っており、そこにはたまに変わった魚が陳列されます。

4月のとある日に、その魚屋さんに陳列されていたのが、岩手県産のケムシカジカHemitripterus villosus (Pallas, 1814)。当然、即購入となりました。

購入したケムシカジカ(撮影:椎名まさと)

筆者はケムシカジカを食べるのは初めてではないものの、ここ数年食べたことがなかった“ごぶさたの魚”でした。

今年4月の天候は不順で、暖かい日になったかと思いきや、しとしとと雨が振り肌寒いときもあり、暖かい汁物にして食べたいと思い、購入しました。

カジカの仲間

「カジカ」というと、どのような魚を思い浮かべるでしょうか。

生まれたのが山奥の方であれば淡水にすむカジカを、釣り人であればアナハゼのような種を、北海道や東北地方であれば鍋物にして美味なギスカジカやトゲカジカなどの大型種を思い浮かべるのかもしれません。

淡水のカジカ科  ウツセミカジカ(撮影:椎名まさと)

カジカ科の魚というのは、ハゼ科やコイ科ほどではないものの多様な生態や見た目をしている魚たちです。『日本産魚類検索 第三版』ではカジカ科だけで88種が掲載されています。

一方、今回の主役であるケムシカジカは広い意味ではカジカの仲間なのですが、真のカジカ科ではなく、ケムシカジカ科とされています。

ケムシカジカ科の特徴は?

ケムシカジカ科の魚は、体表が小さな棘を有する小瘤状の突起でおおわれていることなどで、一般的なカジカの仲間(カジカ科)と見分けられます。ケムシカジカ科の魚は日本から3属4種が報告されています。

最近はカジカ科もさらに細分化されたり、一部のカジカ科の魚をケムシカジカ科に含めたり、ケムシカジカ科をトクビレ科に移すなどされることもありますが、ここでは従来の分類(先述の『日本産魚類検索』など)に従いました。

この場合、日本産のスズキ目カジカ亜目はギンダラ科・アイナメ科・ハタハタ科・トリカジカ科・クチバシカジカ科・ケムシカジカ科・カジカ科・ウラナイカジカ科・トクビレ科・ダンゴウオ科・クサウオ科に分けられます。

姿が似ているオコゼとの違い

ケムシカジカを初めて見た方は、本種のことをオコゼの仲間だと思うこともあるようです。とくに、多数の細い背鰭棘があるその姿はオコゼの仲間のようにも見えます。

しかし、ケムシカジカはスズキ目・カジカ亜目であるのに対し、オコゼの仲間は同じスズキ目でもカサゴ亜目のものであるため、近縁種とはいえないところがあります。

ケムシカジカ(撮影:椎名まさと)

その一方、上越地方などではケムシカジカのことを「おこぜ」と呼称することがあるようで、また、ケムシカジカとおなじケムシカジカ科の中にはその名も「オコゼカジカ」という標準和名の魚が存在します。

一口にオコゼの仲間といっても種類はいろいろありますが、本州に生息しているオコゼの仲間で食用になる種はオニオコゼくらいのものであるため、今回はケムシカジカとオニオコゼを見分けるポイントを紹介します。

オニオコゼ(撮影:椎名まさと)

ケムシカジカとオニオコゼの違い(1)胸鰭下方の遊離軟条の有無

オニオコゼが含まれるオニオコゼ属の特徴として、胸鰭下方に遊離軟条が2本(2対で左右の胸鰭で合計4本)あることがあげられます。

オニオコゼ属の魚の下方には遊離軟条が2本ある(赤い矢印)(提供:椎名まさと)

一方のケムシカジカは、胸鰭下方にそのような遊離軟条は存在していません。

ケムシカジカとオニオコゼの違い(2)体表の様子

体表はケムシカジカでは微細な棘をそなえた小瘤状突起に覆われており、ざらざらしています。

ケムシカジカの体表は小瘤状突起におおわれる(撮影:椎名まさと)

オニオコゼにはそのようなものはなく、すべすべしています。

オニオコゼの体表は柔軟(撮影:椎名まさと)

ケムシカジカとオニオコゼの違い(3)背鰭棘の様子

ケムシカジカの棘は細く長いですが、オニオコゼの棘は同じように長いものの、ケムシカジカよりは太くしっかりしたもののように見えます。

またケムシカジカは無毒とされていますが、オニオコゼの背鰭棘には強い毒があるので、触れないように注意が必要です。

オニオコゼの背鰭棘。太くて長く、毒がある(撮影:椎名まさと)

一般的な鮮魚販売店では多くの場合、オニオコゼの毒棘は切り落とされていることが多いのですが、釣ったり獲ったりしたオニオコゼを料理する場合は注意が必要です。

上記の特徴のほか、分布域にも違いがあり、オニオコゼ属の魚は温帯から熱帯の浅海に生息しますが、ケムシカジカはつめたい海を好み、深海や寒帯・亜寒帯の浅海に生息します。

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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