ナマズ目の魚は世界各地で養殖されており、特にアジア地域では非常に重要な水産資源として位置付けられています。
かつて、日本でもナマズ食文化が発展しており、古くは縄文時代の貝塚からもナマズの骨が発見されています。
この記事ではナマズの食文化についてご紹介します。
日本のナマズは全部で4種
ナマズ(またはマナマズ)はナマズ目ナマズ科ナマズ属に分類される淡水魚です。
日本にはナマズ、ビワコオオナマズ、イワトコナマズ、2018年に新種記載されたタニガワナマズを加え4種のナマズ属魚類が生息しています。このうちナマズは日本各地で見られ、北は北海道から南は九州まで生息する魚です。
現在、日本各地で見られるナマズですが、実は元々は西日本の魚だったとされています。ナマズの自然分布は近畿以西の本州及び、四国・九州と考えられており、東日本へは移植などにより人為的に持ち込まれました。江戸時代中期には関東で見られるようになり、後期には東北でも見られるようになったようです。
このような魚を国内外来種と呼び、ナマズの他にもコイやオヤニラミなどが自然分布と異なる地からの記録が多々見られます。
産婦にはナマズを食べさせると良い?
現代の日本ではあまり食べられなくなったナマズですが、各地に郷土料理が伝承されています。
古くは縄文時代から食されていたと考えられており、滋賀県大津市の貝塚から発見されたナマズ科の歯骨片はその証拠と言えるでしょう。また、平安時代、室町時代、江戸時代の書物にはナマズ料理の記録が記されていることからも、日本ではナマズをよく食べていたことがうかがえます。
室町時代の書物「山科家礼記」ではナマズが贈答品として用いられていたことが記されている一方、江戸時代の書物ではナマズが祝儀用の料理に用いられることが減ったことを示唆する記述があるようです。
江戸時代のナマズ料理はナマズ汁、かまぼこ、杉焼き、なべ焼きなどがありました。
さらには、ナマズは母乳の出をよくする効能があるとされており、実際に福岡県や滋賀県、徳島県の一部地域ではナマズを食べると「産後の肥立ちが良い」「母乳の出が良くなる」として継承されているようです。
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