奈良県生駒市上町にある「エコパーク21」。名前だけ聞くとまるで自然科学館のようにも思えますが、実はここ“し尿処理施設”として稼働している場所です。
普段あまり意識することのない生活インフラですが、面白いことにこの施設ではその一角に水辺の生き物や環境について学べる展示が行われているのです。
4月中旬、実際に現地を訪れてみました。
絶滅危惧種<カワバタモロコ>の水槽が圧巻!
館内に入ってまず目を引くのは、小型サイズの水槽がずらりと並んでいることです。
奥のロビーには壁付きの大きな水槽もあり、思っていた以上に見ごたえがあります。単なる飾りではなく、水辺の生き物に関心を持つきっかけとして、しっかり機能している印象を受けました。
壁付きの大きな水槽。ガラスの反射に後で気がついた(提供:さご/撮影場所:エコパーク21)中でも印象的だったのは、絶滅危惧種として知られるカワバタモロコの展示です。
小さな水槽も含めると、半分以上がカワバタモロコの展示という贅沢さ!
至る所にカワバタモロコ(提供:さご/撮影場所:エコパーク21)カワバタモロコ以外にも、市内の生物調査で捕獲した魚類が水槽に随時追加されるそうなので、行くたびに違う生き物が見られるかもしれないのも魅力の1つと言えそうです。
保全に向けた取り組みもわかりやすく紹介
ここでは生体展示だけでなく、保全に向けた取り組みも紹介されていました。
資料もかなり見やすく作られており、ボランティアの取り組みや啓発がかなり分かりやすくまとめられています。
保全活動を紹介する掲示板(提供:さご/撮影場所:エコパーク21)近畿大学との共同研究も行っているようで、単なる「魚の展示」にとどまらず、地域と研究機関が連携して生物多様性を守ろうとしていることが伝わってきます。
ビオトープで自然の仕組みも体感
施設の前にはビオトープも整備されており、ここにも小さな水辺の世界が広がっています。
メダカやザリガニが生息しているようで、人工的につくられた環境でありながら、生き物たちが暮らす場所として機能していることがうかがえます。
施設前のビオトープ(提供:さご/撮影場所:エコパーク21)こうした場所を見ると、水辺の保全というものは、必ずしも大きな川や自然豊かな湿地だけで行われるものではないのだと感じます。
生活排水や下水処理を担う施設のそばにも、生き物が暮らせる環境をつくることはできる──そうした発想そのものが面白いところです。
身近な生態系に触れることのできる貴重な施設
海のない奈良県では、魚や水辺の生き物との距離を感じやすいかもしれません。
しかし、こうした施設を訪れてみると、身近な場所にも水辺の生態系は存在していることに気づかされます。
エコパーク21は、単なる“し尿処理施設”ではなく、水と人、そして生き物のつながりを考える入口にもなっているように思えました。
近くを訪れた際には、ぜひ足を運んでみてくださいね。
(サカナトライター:さご)