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実は奥深い金魚の歴史 日本で親しまれるようになった理由は?

お祭りでの金魚すくいや、観賞魚など、日本と縁深い金魚。金魚の歴史には常に人が関わっています。

この記事では、実は興味深い金魚の歴史を紐解いていきます。さらに記事の後半では、金魚の品種を5種類紹介しますよ!

金魚はフナの突然変異種?

金魚の原産地は中国中国にすむアジアブナが突然変異し、黒色の色素を欠いた紅色、金色をしたフナがうまれました。それがヒブナです。これをさらに突然変異させ、人為的に改良を重ねてきたのが現在の金魚だといわれています。

和金(提供:PhotoAC)

日本に金魚が渡来したのはおよそ500年前の室町時代。後述の「金魚育養玩草きんぎょそだてぐさ)」によれば、1502年に大阪に入ってきたのが始まりとされています。

その後、庶民に広がったのが江戸時代です。1748年に書かれた金魚の飼育書である「金魚育養玩草」は人気を博し、重版されたといいます。そのような時代を経て、中国で生まれた金魚は日本人に愛されるようになり、今や日本文化としてなくてはならない存在にまでなりました。

金魚すくい(提供:PhotoAC)

金魚の祖先であるフナの染色体は遺伝的変異を起こしやすい特徴を有しており、この特徴を利用してさまざまな品種が作り出されました。中国で作られた品種だけでなく、日本で作られた品種も多く存在します。

金魚は観賞魚として改良された魚。その姿はほかの魚たちとは一線を画す美しさです。品種も多く、特徴も品種によってさまざま。自分に合った金魚がきっと見つかるはずです。

個性豊かな金魚の品種5選

金魚の姿は個性豊か。多くの品種があり、どれもが特徴的な姿をしています。そのなかから、皆さんがよく知る金魚からマイナーな金魚まで5種類を紹介します。

<和金>金魚と言えばこの朱色!

一番ベーシックな金魚が和金。金魚の原型であるヒブナを品種化したものがこの金魚です。体はフナに似ており細長く、ヒレも比較的短めです。

和金(提供:PhotoAC)

3センチほどの大きさの和金は「小赤こあか)」と呼ばれます。金魚すくいで最も目にするのがこの小赤。祭り屋台のプールで涼し気に泳ぐ小赤は、今や夏の風物詩です。5センチほどになれば「姉金あねきん)」と呼称が変わります。それ以上に大きくなれば、中金、大金と呼ばれるようになります。

<出目金>大きく飛び出た目玉が特徴

出目金は中国の清の時代、少なくとも1780年頃には開発された品種です。日本には明治時代頃に輸入されました。日本人にとっても和金に次いでなじみ深い金魚なのではないでしょうか。眼球が大きくなり、頭蓋骨に収まらずに飛び出してしまったのがこの品種で、「出目金」という名前の由来にもなっています。実は生後二ヶ月までは眼球は大きくならずに頭蓋骨に収まっており、二ヶ月を過ぎると眼球拡大が始まります。

出目金(提供:PhotoAC)

出目金は体色にバリエーションがあり、主に黒と赤、キャリコと呼ばれる赤・白・黒のモザイク型がみられます。特に黒い体色の黒出目金は、黒い金魚のなかでは最も知られている品種なのではないでしょうか。

<水泡眼>揺れる頬が愛らしい

水泡眼すいほうがん)は、眼の下に水泡がある品種です。その姿には一度見たら忘れないようなインパクトがありますね。泳ぐたびに一緒に揺れる大きな頬がとっても愛らしい金魚です。体色は白と赤が混ざる更紗と赤、キャリコのどれかです。また、背びれが退化して存在しないのも特です。

水泡眼(提供:PhotoAC)

運搬・飼育の際には、水泡を傷つけないように注意することが大切です。両頬の水泡のバランスが良いものが価値が高いとされています。

<オランダ獅子頭>インパクトのある名前と頭

オランダ獅子頭(ししがしら)は、頭部の肉瘤が非常に発達しているのが特徴の金魚です。江戸時代に、中国から琉球を経て長崎に渡来しました。鎖国状態であった当時、珍しい渡来物を「オランダ物」と呼んでいたことと、頭の肉瘤がライオン(獅子)の頭を思わせる形であることから、「オランダ獅子頭」という不思議な名前がつけられました。頭の形からライオンヘッドという別名もあります。

オランダ獅子頭(提供:PhotoAC)

また、長い尾を有していることも特徴です。レースのような尾でダイナミックに泳ぐ姿が高く評価されています。

<ブリストル朱文金>ハート型の尾びれがはためく

ブリストル朱文金(しゅぶんきん)は、日本でつくられた朱文金という品種の金魚がイギリスに渡り、現地で改良が加えられた金魚です。

朱文金(提供:PhotoAC)

この金魚の最大の特徴はハート型のおびれです。広めの環境で飼育するとその尾びれが長くなってしまい、ハート型が強調されないため、小さめの水槽での飼育がすすめられています。適した環境で飼育すると、長すぎずに上下に開いた尾びれがハート型になります。

金魚とフナの特徴を持つ魚「鉄魚」とは?

コイ科の淡水魚であるテツギョ(鉄魚)。この魚は1922年に宮城県にある魚取沼で発見されたひれの長いフナです。銀色の美しい体色からこの名がつきました。遺伝子解析の結果、金魚と日本産のフナの交雑種であることがわかりました。尾びれが長いものが特徴ですが、変異が多く、フナのような短いひれを持つものも。成長していくにつれて赤みのある体色になる個体もあります。

鉄魚(提供:PhotoAC)

テツギョは他の川や池でもまれにみられますが、魚取沼のように群れをなしている例はとても珍しいです。このことから、魚取沼のテツギョ生息地は、国の天然記念物に指定されています(指定文化財〈天然記念物〉魚取沼のテツギョ生息地-宮城県)。

知れば知るほど奥が深い金魚の世界

金魚は目にする機会の多い身近な魚ですが、実は奥が深い魚です。その姿の美しさや愛くるしさはもちろん、その謎の多さからどこか奥ゆかしく魅力的。そんな部分が日本人の心に共鳴し、今に至るのではないでしょうか。

ここで紹介したエピソードや品種はごく一部です。もし気になればぜひ金魚について学んでみてください。

〈参考文献〉
『金魚いろ×かたち謎解き図鑑 どうしてデメキンやランチュウみたいになるの?』(2022年/大森義裕 著/化学同人 刊)
『金魚と日本人』(2019年/鈴木克美 著/講談社 刊)

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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