観賞魚として飼育されるけれど……
メギス科の魚の多くの種は美しい色彩をしており、観賞魚として販売されている種もいます。
とくに紫色が強く美しいクレナイニセスズメ属のクレナイニセスズメや紅海やその周辺にのみすむオーキッドドティバック、黄色と紫色というツートーンカラーがめだつバイカラードティバックなどの種が代表です。
いずれも、その鮮やかな紫色の色彩がマリンアクアリストを魅了してきました。
紫色が美しいクレナイニセスズメ(提供:椎名まさと)しかしながら、近年この魚を飼育している方は意外なほど少ないような気がします。というのもこの種はかなり強い性格をしており、ほかの魚に対して攻撃的になるからです。
そのため、特に似たような形の魚である、ハゼやカエルウオ、ハナダイの仲間などを攻撃し最悪の場合死なせてしまうこともあるのです。同種やその近縁種についても同様で、激しく争うためこの仲間はひとつの水槽に1匹のみにしておきたいところ。
また、きれいな水で飼育しないと弱ったり、色があせたりすることもあります。
もちろん、飼育することができなくなっても、絶対に海へ放流してはいけません。基本的に飼育しきれなくなった魚はペットショップなどに引き取ってもらうようにしましょう。
(サカナトライター:椎名まさと)
参考文献
伊藤大介・武藤望生・本村浩之.2021.メギス科Labracinus cyclophthalmus Muller and Troschel, 1849(メギス)の新参異名とされていたL. ocelliferus (Fowler, 1946)(ガンテンメギス)の形態的・遺伝的根拠に基づく有効性と再記載. Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 6: 9?24.
松原喜代松. 1955. 魚類の形態と検索.石崎書店.東京.
中坊徹次編. 2013.日本産魚類検索 全種の同定 第三版.東海大学出版会.秦野.
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