沖縄県国頭郡にある沖縄美ら海水族館は12月11日、日本初となる「ナンヨウツバメウオ」の繁殖に成功したことを発表しました。
これに伴い、館内「サンゴ礁への旅 個水槽」でナンヨウツバメウオの稚魚2個体の展示を開始。枯葉のような姿のナンヨウツバメウオ稚魚を観察できます。
枯葉のようなナンヨウツバメウオの稚魚
ナンヨウツバメウオは、サンゴ礁に生息するマンジュウダイ科の魚です。
稚魚は全身が茶褐色で、ヒレを大きく張り出した枯葉のような体が特徴。漁港や河口付近を漂うように泳ぎ、枯葉や流れ藻に紛れるように擬態する姿も確認されています。
ナンヨウツバメウオの稚魚(提供:一般財団法人 沖縄美ら島財団)サンゴ礁域に生息し、数匹から数十匹ほどの群れで遊泳。成魚は全長50センチ程に達し、全身が銀色味を帯びます。
日本初となるナンヨウツバメウオの繁殖行動
今回展示される稚魚の親は、2013年から2016年にかけて沖縄島北部より搬入した3個体です。
親魚となったナンヨウツバメウオ(提供:一般財団法人 沖縄美ら島財団)今年9月14日夕方頃から雄2個体が雌1個体を盛んに追尾する行動が観察され、その後18日朝に直径約1.3ミリの受精卵を回収し、その晩に孵化したといいます。
得られた卵は一般的な海産魚類の卵と異なり、水面に浮かず水槽の底に沈む性質が見られたのだとか。
ナンヨウツバメウオの孵化後の形態変化も公開
同館の観察では、ふ化直後の仔魚は丸みを帯びた体形で水槽底付近を泳いでいたそう。
孵化後13日目の様子、全長約8ミリ(提供:一般財団法人 沖縄美ら島財団)ふ化後約2週間を経たのち、わずか2日ほどの短期間で体高が急激に増し、現在の枯れ葉状の稚魚の姿へと変化したことを明らかにしました。
孵化後15日目の様子、全長約10ミリ(提供:一般財団法人 沖縄美ら島財団)これと同時に、水底から水面付近に遊泳場所が移動。本種は仔魚期から稚魚期に移行する過程で、短期間のうちに形態と遊泳方法を大きく変化させることが判明しました。
この知見による海産魚類の初期生活史や擬態行動に関する研究への貢献が期待されます。
詳細は沖縄美ら海水族館の公式ホームページに掲載されています。
※2025年12月13日時点の情報です
(サカナト編集部)