高知県でしか食べられない、期間限定のレア魚「メジカの新子」を知っていますか。
筆者は、たまたま知ることになった「メジカの新子」を求めて、2025年8月末に高知県へと向かいました。
それはもう、美味しすぎる魚でした。
超レア魚「メジカの新子」とは?
メジカの新子とは、マルソウダガツオ(学名:Auxis rochei)の生後1年未満の幼魚のこと。15~25センチくらいのサイズのものを指します。
マルソウダガツオの成体(提供:PhotoAC)メジカの新子を食べられるチャンスは、1年のうち8月下旬から10月初旬までと1か月ほどの期間しかなく、“幻の魚”とも呼ばれています。
メジカ特有のモチモチ食感の刺身を味わえるのは、新子の時期だけ。つまり、新子が獲れる期間しか味わえないレアな食材という訳です。
痛みが早く産地で飲み消費される
メジカの新子はサバの約2倍も傷みが早いとされ、鮮度が落ちると食中毒を引き起こす成分であるヒスタミンが蓄積されてしまうので、注意が必要とされています。
そのため、現在も水揚げされる地域から県外への流通は難しく、産地でしか食べられません。道の駅などでもメジカの新子は販売されますが、傷みやすいエラと内臓を除去し、氷の入った海水中で保管されています。
鮮度を保つために氷の入った海水で保管されるメジカの新子(撮影:額田善之)こうした処理をした上でも、朝どれのものをその日の夕方までに食べないと食中毒の危険があるため、新鮮であることが必須の食材なのです。
実際に「体調がすぐれない場合は、お控えください」という少しドキドキする注意書きもあるので、事情を知らない人は気軽に購入できないかもしれません。
こんな怖い注意書きもあるほど(撮影:額田善之)私が訪れたお店では午後2時の時点で、最後の1匹でした。
メジカの新子は高知県中土佐町と須崎市がメッカ
高知県でメジカの新子漁が行われるのは、主に中土佐町と須崎市の2ヶ所。そのため、この2ヶ所がメジカの新子をおいしく食べることができる場所となります。
この2ヶ所はカツオ漁も盛んな地域なのですが、メジカもカツオの仲間なので、“メジカの新子のメッカ”というのは当然というか必然なのでしょう。
カツオのたたきとメジカの新子の刺身(提供:PhotoAC)なお、中土佐町では皮を剥いで刺身にしますが、須崎市では皮つきのまま刺身にするのが特徴です。
それぞれ風味は異なりますが、筆者は身の味をダイレクトに味わえる中土佐町の調理法の方が好みです。
メジカの新子は甘くてモチモチ食感がすごい
メジカの新子の刺身(撮影:額田善之)メジカの新子の刺身は、とにかく甘みがありモチモチ食感が印象的。「こんな魚、食べたことがない」と断言するほど、独特のおいしさが弾ける魚でした。
メジカの新子の刺身には必ず、酢みかんの一種である「ぶしゅかん」が添えられるのですが、確かにこの柑橘がないと美味しさが半減してしまうでしょう。それほど、メジカの新子には欠かせません。
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